[メイン] GM : □序章オモテ
 貴方は美術館にいる。
 絵画はもちろん、彫刻や工芸品も幅広く置いてある大きな美術館だ。

 今日はそこで、『高井志穂』という有名な画家の特別展が開かれている。
 『高井志穂』は、『死』を一貫したモチーフとして描き続けた画家である。数年前に亡くなっており、その遺体は突然行方不明になったという、曰く付きの画家だ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 《郷愁と死》

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あなた達は今、とある美術館にいる。

[メイン] GM : ここは、絵画はもちろん、彫刻や工芸品も幅広く置いてある大きな美術館だ。

[メイン] GM : 今日はそこで、『高井志穂』という有名な画家の特別展が開かれている。

[メイン] GM : 特別展が開かれている、というの、実はある"曰く"があるためだ。

[メイン] GM : 『高井志穂』は、『死』を一貫したモチーフとして描き続けた画家であり、数年前に亡くなっている。

[メイン] GM : しかし、その遺体は突然行方不明になったという……。

[メイン] GM : この事件が、『高井志穂』の死をより話題にしたようだ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 中島敦 : かつん。
靴音が静かな館内に響く。
……いけない、目立ってしまいそうで顔に熱が纏われていきます。

[メイン] 中島敦 : 逸らすように視線を動かせば、他の観覧者がぽつり、ぽつりと。
そこまで目立たなかったかな、むしろ逆に目立ってしまったかな。思考が堂々と巡る。

[メイン] 中島敦 : ──思えば、どうしてわざわざ美術館へと来たのか。
紐解けばそれは、好奇心。

[メイン] 中島敦 : 『死』とは繊細であり、絶対であり、残酷であり、救済である。
一言でその概念を説明出来ない、複雑な観念。
それをわざわざ描こう、とするものに興味が沸いた。

[メイン] 中島敦 : ……学生時代を思い出します。思えば、耽美主義とも類似した概念でしたね。

[メイン] 中島敦 : そういえば、作者の遺体が忽然と消えた、とかなんとか。
現代の法の下でそのような事が可能なのだろうか、と思案しつつ。

[メイン] 中島敦 : このような話は、『ふかし』が多いものだな、と結論に至り。

[メイン] 中島敦 : 目を細め、作品の観覧へと意識を戻していった。

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ : 静謐に満ちた美術館の中、肌寒さが頬を撫でる

[メイン] あだぽしゃ : その冷たさは、此処で表現される"死"に近しいようで、遠くも思えて

[メイン] あだぽしゃ : 寂しさを感じさせる冬の日に、視線でなぞる程其処に想わせる死は、命の喪失と似て感覚を薄れさせる様に見えた

[メイン] あだぽしゃ : "死"というモチーフに関してそう造詣が深いわけでは無いが、語る価値に欠ける程の経験だけはあるからか、その絵画の数々に形容しがたい思いを膨らませつつ

[メイン] あだぽしゃ : 目に見えぬ小さな命まで死に果てたような展示会を眺めて、誰かの経験か知識か測り難い表現を焼きつけて行った

[メイン] あだぽしゃ : 一体貴方はどの様な想いを経てそれを絵に書き写したのか、余り前向きでもない好奇心を抱えながら

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ : 私は今、とある美術館にいる。

[メイン] 野田コトネ : 最近ちょっと肌寒い、わざわざ出かけるのも億劫になるような日だし。
そもそも私自身そんなに美術品とか好きってわけでもないんだけど。

[メイン] 野田コトネ : なんで来たか?

[メイン] 野田コトネ : しずくちゃんが興味持ったからって言うから話題合わせのために来てたんだけどさ。

[メイン] 野田コトネ : ……面白くないなぁ。

[メイン] 野田コトネ : 確かに綺麗ではあるんだけど、それよりも大きく感じるのは。

[メイン] 野田コトネ : 「不気味」

[メイン] 野田コトネ : 暖房で温まったはずの体、でも見てるだけで心と体が冷えてく感じがする……
そんな不気味さをこの作品群は纏ってる感じがする。

[メイン] 野田コトネ : …他になんかないのかな?
と思い直してみると。

[メイン] 野田コトネ : そう言えば、作者の遺体が突然消えた!?ってニュースになってたような…

[メイン] 野田コトネ : そっち、他の人に聞いてみるのもいいかも?
だってそっちの方が……

[メイン] 野田コトネ : 面白そうだしね。

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] カミナ :  

[メイン] カミナ :  

[メイン] カミナ : 「……美術館、チケット貰ったから来たけどよ」

[メイン] カミナ : 「………」

[メイン] カミナ : 「ダメだ、全くわからねぇ」

[メイン] カミナ : 何度も美術館を周り、何回も美術品を舐めるように眺めて周り……

[メイン] カミナ : 結局肩を落としているこの男

[メイン] カミナ : この真冬に、最低限の衣だけ。
露出狂というわけでもないが……明らかに博物館に来るタイプではない

[メイン] カミナ : “外国人がしたヤクザのコスプレ”そんな評価がぴったりな、偉丈夫

[メイン] カミナ : 「……しっかしなぁ」
パンフレットを懐からピンと広げ、一部分に着目する

[メイン] カミナ : 高井志穂、そこに再び着目する

[メイン] カミナ : 「……コイツ、どんな奴なんだ?」

[メイン] GM : 登場人物:高井志穂
無名の画家。死に纏わる絵画のみを製作する変人。曰く、『いつか必ずやってくる未来に思いを馳せることに感動はある』とのこと。
故人。女性。

[メイン] カミナ : 「……こんだけ回ったってのに、これだけか」

[メイン] カミナ : 死人の遺体が消えた……なんて理由で開かれたこの展示……

[メイン] カミナ : 「……チッ、横見てもどこ見ても癪に障りやがる」

[メイン] カミナ : 展示を探してりゃ、画家本人を詳しく解説するコーナーでも見つかるかと思ったが……

[メイン] カミナ : あんのは辛気臭い芸術品ばっか

[メイン] カミナ : ………肝心の画家様は、パンフレットにこじんまり

[メイン] カミナ : 「気にいらねぇ」

[メイン] カミナ : パンフレットを握り潰し、再び展示を見回り始める

[メイン] カミナ : ……どいつもこいつも、死だの芸術だの浮かれやがって

[メイン] カミナ : 死だの何だのとはしゃいでねえで、せめて手ぇ合わせてやれよ。

[メイン] カミナ : ……芸術だけ注目されて、仏さんが疎かってのは、全く気にいらねぇ

[メイン] カミナ : 「おーし、もう一回だ!待ってろよ、高井志穂!」

[メイン] カミナ : ドカドカと音を立て、男は進む。
ほんの少しだけでも誰にも着目されない誰かを知る為に

[メイン] カミナ : 知りてぇって思った理由は、ピンと来ねえんだけどな!

[メイン] カミナ :  

[メイン] カミナ :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : ■序章ウラ
 貴方はある作品の前で立ち止まった。
 タイトルは『郷愁』。描かれているのはいかにもな田園風景等ではなく、都会の街並みと、忙しない人混みだった。真ん中には小さな男の子の後ろ姿が掛かれているが、人混みに紛れて目立たない。

 説明によると、どうやらこの作品だけは特殊な事情によって描かれたもののようだ。

『高井志穂の作品のうち、唯一『死』に関わらない作品。弟子の■■■■の要望で描かれたといわれる』
 ……弟子の名前の部分が、赤黒い液体によって見えない。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あなた達4人は、無名画家の作品を見ながら、中を進んでいくと。

[メイン] GM : ある作品が目に映る。

[メイン] GM : それにどうしても注目してしまう、他の作品とは違う……何か、特別な雰囲気を感じ取った。

[メイン] GM : ………………………………………。

[メイン] GM : ……………………………。

[メイン] GM : 次第に、周囲にいた他の来場客の足音や話し声が、聞こえなくなっていく。

[メイン] GM : タイトル『郷愁』。
その作品の前に立つ、敦、あだぽしゃ、コトネ、カミナ。

[メイン] あだぽしゃ : 不意に、目に留まる

[メイン] 中島敦 : 再び靴音が響く。
立ち止まったその先の、絵。

[メイン] あだぽしゃ : ある種の紅一点ともいうべきか

[メイン] あだぽしゃ : 死臭の無い、一つの絵画

[メイン] カミナ : 遠方からドカドカと、一人の男が歩いてくる。

[メイン] カミナ : ここも何度も回ったが……ん?

[メイン] カミナ : こんな絵、あったか?

[メイン] 野田コトネ : 今はもう作品に興味もなくて。
ざぁっと絵を見るだけにとどめていたのに。

[メイン] あだぽしゃ : 郷愁、故郷を想う気持ちを描き上げたのだろう一枚

[メイン] 野田コトネ : 軽く見ていたはずなのに、惹きつける”綺麗さ”

[メイン] 中島敦 : 郷愁を謳いながらも、遠く離れた現在を描くそれは。
謳いながらも、夢を見る事すら出来ないそれは。

[メイン] カミナ : 足を止め、あえて腕を組みその絵を真っ向勝負と見つめ始める

[メイン] あだぽしゃ : それは、異質でもある、しかし馴染んでもいる想い

[メイン] 中島敦 : 強く、私の心を惹きつけて。

[メイン] カミナ : 目に止まるのは……背中、小せえガキの小さな背

[メイン] 野田コトネ : ……これだけは違う、なんだか…見惚れるほどの美しさをまとっている。
……少し感じる「不気味さ」を塗りつぶすほどに。

[メイン] あだぽしゃ : 「…こんな絵もあるのね」
不思議だった、でも腑に落ちる

[メイン] 野田コトネ : 「……わー、いいなあ…」

[メイン] あだぽしゃ : 生きているなら、死を想うだけの無数の経験があるのだから

[メイン] 中島敦 : 声に意識が逸れる。少女、そして男性……あれ?

[メイン] カミナ : 人混みの中でも、明らかに目に入る。
恐らくは……これがこの絵の鍵なのだろう

[メイン] 野田コトネ : そんな思ったままの感想が口から零れるくらいには、良かったのだろう。

[メイン] 中島敦 : ……こんなに、お客様って、少なかったっけ?

[メイン] あだぽしゃ : ともすれば、この絵に満ちるものは

[メイン] カミナ : 「おい、アンタら。こんな絵、さっきまであったか?準備中だったとか……」

[メイン] 野田コトネ : 唯一、「面白い」と思えた絵…
ええっと、タイトルなんだっけ、そう…『郷愁』……?

[メイン] あだぽしゃ : ここにある無数の絵を決心させた何かの一部なのだろう、今や想えぬ何かの

[メイン] 野田コトネ : 「おっと…あ、こんちわ!」
カミナの声に気づいて、振り向く

[メイン] カミナ : 「……あー、見惚れてたのか、邪魔して悪いけどよ」

[メイン] 野田コトネ : 「……ん~、そこまで見てたわけじゃないからなあ…他の人、どうかな?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…準備中?」

[メイン] カミナ : 「何度も回ったんだが……オレはこの絵、初めて見るんだよ」

[メイン] カミナ : 「こんな所に、あったか?」

[メイン] あだぽしゃ : 「すまないわね、私は…ゆっくり見回ってたから記憶に無いわ」

[メイン] 野田コトネ : ……めっちゃ薄着だけどいいの?とか思っちゃうけど。
その割には結構フレンドリーな人だなあ…

[メイン] 中島敦 : 「………ぇ、あっと」

[メイン] 中島敦 : 逸らした先の目線に映るは、説明書き。

[メイン] あだぽしゃ : ふと振り返ると、先ほどまで意識してなかった誰か達がいる、が

[メイン] あだぽしゃ : …?

[メイン] 中島敦 : 「……………あれ、汚れて、る?」

[メイン] あだぽしゃ : 此処を構成していた客達は何処へ?

[メイン] 野田コトネ : 「……え?あ…ほんとだ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あら?」

[メイン] カミナ : 「あぁ?……ったく、マナーが悪いな。おい」

[メイン] あだぽしゃ : 「赤黒い、わね」

[メイン] 野田コトネ : 敦の言葉を聞いて、視線を同じところに写すと。

[メイン] あだぽしゃ : 「…しかも一部だけ、か」

[メイン] カミナ : 「誰だよ、ジュースなんて零したのは」
手拭いを取り出し、拭き取ろうと手を伸ばす

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 『加賀映人』

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 野田コトネ : 「……加賀英人?」

[メイン] 野田コトネ : 知ってる?という目で3人に向ける。

[メイン] あだぽしゃ : 「いや…」

[メイン] あだぽしゃ : 知らない名前だ、此処では聞いたことのない名前

[メイン] あだぽしゃ : 「…弟子、か」

[メイン] 中島敦 : 首を横に振る。
今までの展覧でも、そのような名前は見当たらなかった。

[メイン] 野田コトネ : 「……私さ、ここに来るまでこの画家の人知らなかったんだけど…」

[メイン] カミナ : 「……弟子?パンフレットには──」

[メイン] 野田コトネ : 「あんまり有名じゃない感じなんだね、普段行為所いかないから知らなかった」

[メイン] カミナ : グシャグシャのパンフレットを広げ直す

[メイン] カミナ : 「やっぱり、書いてねぇよな。ったく……」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そうね」
有名人、ではないもの

[メイン] あだぽしゃ : 「…確か、事件が起因だと聞いたもの」

[メイン] 野田コトネ : おおう乱雑な扱い方。
親しみやすそうだけどけっこうがさつなのかなぁ?

[メイン] 中島敦 : 「……ううん。学芸員さんが居て、見て回っているはずなんですけれど。どうして汚れてしまったんでしょうか」

[メイン] あだぽしゃ : 「その半生に関わる誰かを知っている人は、殆どいないんじゃないかしら」

[メイン] 野田コトネ : 「まあねー…私もそう、だけどさ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 「そもそも、だけど」

[メイン] 中島敦 : 半生に関わる誰かを知っている人は、居ない。
………作家として、痛い言葉です。

[メイン] 中島敦 : 「……ぁ、はい」

[メイン] カミナ : 「あぁ?どうした、ちびっ子」

[メイン] あだぽしゃ : 「ここは美術館でしょう?」

[メイン] 中島敦 : 「そうですね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…最低限の警備員すら居ないように見えるけれども」

[メイン] 野田コトネ : 「うん?」

[メイン] 中島敦 : 「…………あ」

[メイン] 中島敦 : くるり、と見渡して。
……静かすぎる。

[メイン] カミナ : 「……そういや、さっきからジロジロ睨んでやがった奴らが居ねえな」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] 野田コトネ : 「……うっそ?ほんとだ」
見渡す、が声も形もない。

[メイン] カミナ : ガン飛ばし返してたが……逃げたか

[メイン] 中島敦 : 「……え、ええと。もしかしたら裏手に出てしまったのかもしれませんし」

[メイン] 中島敦 : 「一旦、表の方へ戻ってみませんか……?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そうね」

[メイン] あだぽしゃ : 「このことは伝えておかないと」

[メイン] 野田コトネ : 「あー…そっか、準備中の所来ちゃったかもしれないしね」

[メイン] あだぽしゃ : 「絵でなかったのが幸いだけど、マナーに欠ける人がいたようだしね…」

[メイン] 中島敦 : 頷く。
管理をする側としても、把握しておきたいだろう。

[メイン] カミナ : 「…かっしいな、この辺は何度も通ったと思ってたんだが」頭を掻きながら、パンフレットのマップを見返す

[メイン] 野田コトネ : そんな事を言いつつ、やはり目線は『郷愁』のままに。

[メイン] 中島敦 : 「うーん……奥まった所だから、でしょうか……?」

[メイン] GM : あなた達は表へ行こうとするだろう。
だが、それは敵わない。

[メイン] GM : 来た時と、まるで構造が違っていた。

[メイン] 野田コトネ : ……全然興味がないと思ってたし、なんならつまらないとまで思ってたけど。
これを描く人……いや、描ける人ってどうなんだろうって気になる。

[メイン] あだぽしゃ : 違和

[メイン] 野田コトネ : 「……っ、え…あれ?」

[メイン] カミナ : 「……なんじゃこりゃああ!?」

[メイン] あだぽしゃ : …ここは何処だ?

[メイン] あだぽしゃ : 「…おかしい、わね」

[メイン] 中島敦 : 「……っ!?」

[メイン] カミナ : 「道が全く違うじゃねえか……!アレか、ミラーハウスか!?」

[メイン] あだぽしゃ : 表層的には、あの美術館ながら

[メイン] GM : 通路には、びったりと血飛沫が撒き散らされていた。
……まるで、『作品』のように。

[メイン] あだぽしゃ : 何もかもが、別で…

[メイン] 中島敦 : 「ひ、あ……」

[メイン] 野田コトネ : そんな事をボーっと考えていたら、道にまよ……って。
ない、けど…行き道と今の道が違う。

[メイン] カミナ : 「………オイオイオイ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…止まって頂戴」

[メイン] 野田コトネ : 「っ……ひ…なに、これ…?」

[メイン] GM : そして、出口は……見当たらない。
非常口の緑ランプの扉の奥に出ても。

[メイン] カミナ : 「何だありゃ……」
冷や汗を垂らす

[メイン] GM : 美術館。

[メイン] あだぽしゃ : 「迷子になった…ってわけじゃないのよね、これ、は」

[メイン] 野田コトネ : 「あ、うん…!」

[メイン] 野田コトネ : あだぽしゃの言葉に一歩下がり。

[メイン] 中島敦 : 「なん、で………どうして………」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ああ、もう」
顔を少し顰めて

[メイン] カミナ : 「こいつは……一体」

[メイン] カミナ : 「……何が、起こってんだ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「私がマナーを違えるのは、癪だけども…」
携帯を取り出す、電源を消していたのだが、仕方ない

[メイン] 中島敦 : ぎゅっ、と、自分の手を握って。
───あ、あ、あ。

[メイン] 中島敦 : 頭が、痛む。

[メイン] 野田コトネ : なに…あれ?血……みたいな、色……
絵具にして、は……赤黒い…よね

[メイン] あだぽしゃ : 「緊急事態だもの、許してね…」

[メイン] GM : 携帯は、圏外。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」
冷汗が伝う

[メイン] あだぽしゃ : 寒空、身一つで雪原に投げ出されたような

[メイン] カミナ : ……汗が止まらない、骨髄に霜がかかったみてぇに身体が冷える

[メイン] あだぽしゃ : 覚悟も無いまま、何処かに

[メイン] 野田コトネ : 怖い、そう感じて。
思わず目をそれから逸らす。

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「落ち着き、ましょう」
汗を拭う

[メイン] あだぽしゃ : 「まだわからないわ、まだ、だけども」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」
何が起きているか、わからない、だが

[メイン] あだぽしゃ : あの作品の様に、ここには死臭が感じられたのだけは…事実だった

[メイン] カミナ : 「………っし」
ちっけぇガキが無理して落ち着いてんのに……

[メイン] カミナ : オレがオタオタしてらんねえか……、気合入れろ。カミナ

[メイン] 野田コトネ : 「……はぁ、はぁ……そう、だね……」

[メイン] カミナ : 「ハッハー!テメエらラッキーだったな、ちょいとおかしな事態に巻き込まれたが……」

[メイン] 野田コトネ : 適当な相槌を打って、会話に気を向ける…

[メイン] 野田コトネ : ……こんなの、面白くない、もん…怖いだけだよ…

[メイン] カミナ : 「このオレ、カミナ様が一緒だったんだ!さっさと抜け出させてやるよ!」

[メイン] カミナ : まだ、オレ含めて誰も落ち着けてねぇ。
下手すると共倒れだが……放ってもおけねぇ

[メイン] カミナ : 今は気合入れて、声上げるしかねぇか……

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : □一章オモテ 侵蝕:2

「あー、すみません。ちょっと良いっすか?」
 声がした。
 見れば男が一人、立っている。廊下の端にいた彼は、貴方に近付きながらこう言った。
「アンタの血で絵を描きたいんで、一回死んでもらっても良いっすか?」
 男の手には、血で汚れた鉈が握られている。それを認識すると同時に、男はその刃物を構えて貴方に襲いかかった。

全発生

→逃げる 【肉体】判定 一章ウラ①へ
→逃げない 侵蝕?点【精神】判定 一章ウラ②へ
→【成果なし】 侵蝕?点 一章ウラ③へ

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[雑談] system : [ 野田コトネ ] ツナガリ : 1 → 2

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] 侵蝕 : 1 → 3

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] ツナガリ : 1 → 2

[雑談] system : [ 中島敦 ] ツナガリの数 : 1 → 2

[メイン] system : [ 中島敦 ] 侵蝕 : 6 → 8

[メイン] 中島敦 :  

[雑談] system : [ 野田コトネ ] 侵蝕 : 5 → 7

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] 中島敦 : 頭がいたい。

[メイン] 中島敦 : いたい、いたい。
……いたい。

[メイン] 中島敦 : 張り裂けそうな心が、わたしを、喰い破るようで──。

[メイン] 中島敦 : ──。

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] 中島敦 : ──フン。

[メイン] 中島敦 : 薄っぺらで、軟弱で、繊細な自尊心が砕けそうだったか?

[メイン] 中島敦 : ならば、『俺』が喰い破る。

[メイン] 中島敦 : 乱雑に、本能のままに、喰い破る『虎』の『俺』がな。

[メイン] 中島敦 : だから、勝手に眠っていろ。

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ : ……目に映った、真っ赤な真っ赤な”ナニカ”。

[メイン] 野田コトネ : キャンバスに塗りたくられたように広がるソレが、先ほどから染みついて離れない。
眼から、頭から……

[メイン] 野田コトネ : ……嫌だ、そんなの……怖いものとは向き合っていたくない、から……

[メイン] 野田コトネ : じゃあ、どうするか?
それは……1つ。

[メイン] 野田コトネ :  希 望
面白いものを見つける、そうすれば。

[メイン] 野田コトネ : 私は見なくていいんだから。

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] GM : 館内を巡り続ける4人。出口は、一体どこなのだろうか。

[メイン] GM : そんな時、5人目の気配が、背後から。

[メイン] GM : 「あー、すみません。ちょっと良いっすか?」

[メイン] 中島敦 : 「………あ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…?」

[メイン] 野田コトネ : 「はぁっ…はぁっ……あれ、ん……?」

[メイン] 中島敦 : 不機嫌そうに振り返る。
その態度に、先ほどまでの気弱さはない。

[メイン] あだぽしゃ : 誰かしら、と

[メイン] あだぽしゃ : 目を向けるそれは

[メイン] ???? : 男の声。
そして、手には……刃物が。

[メイン] あだぽしゃ : 「…ぁ?」

[メイン] 中島敦 : 「へえ」

[メイン] カミナ : 「……おう、何のようだ?」

[メイン] あだぽしゃ : 血と赫と

[メイン] 野田コトネ : ”この先”を見つけるためにはいずり羽回っていたのに。…誰だろう?

[メイン] ???? : 血塗られた刃物を担ぎながらも、至って、普通な表情、それが逆に、"狂気"に満ちていた。

[メイン] あだぽしゃ : 死臭に満ちる、誰か

[メイン] 野田コトネ : 「……っ…!」

[メイン] ???? : 「いやーちょうどいいところにいたもんで」

[メイン] カミナ : 「……テメェッ」

[メイン] あだぽしゃ : 「……何が、かしら」
汗が伝う

[メイン] 中島敦 : 冷め切った瞳は、揺らがない。
それを真としてしか見ていない。

[メイン] 中島敦 : 害するか、否か。

[メイン] カミナ : 血塗られた刃に嫌でも視線が食い止められる

[メイン] 野田コトネ : ……真っ赤に染まるそれと、刃物…
…また、嫌なもの。

[メイン] ???? : にっこりと笑いながら。

[メイン] あだぽしゃ : 「丁度良いって」
吐く息が震える、冷たい感覚、冬にも等しく

[メイン] 野田コトネ : しかし、興味は彼に向けて。

[メイン] 中島敦 : 獣は、眼前のそれを見据える。

[メイン] ???? : 「ちょっと死んでもらえませんか?」

[メイン] あだぽしゃ : ちらりと、三人を見ておく

[メイン] カミナ : 「……ああ、わかった」

[メイン] あだぽしゃ : 「……は?」

[メイン] 中島敦 : 「────ははっ!」

[メイン] カミナ : 「テメェ、頭がおかしいんだな」

[メイン] 野田コトネ : 「……は、何言ってんの…?」

[メイン] あだぽしゃ : ああ、くそ

[メイン] 中島敦 : 嗤った。

[メイン] ???? : 「いやーちょっとだけでいいんすよ」

[メイン] あだぽしゃ : そんなの、ないでしょう…
忌避感が膨らんで、おかしくなりそうだ

[メイン] 野田コトネ : 「…”どうして?”」

[メイン] あだぽしゃ : 「頭おかしいんじゃあないの?ねぇ…」
馬鹿馬鹿しい、なんだそれ、何でこんな状況で

[メイン] あだぽしゃ : 人を殺しに…

[メイン] ???? : 男は、敦、あだぽしゃ、コトネ、カミナの表情をそれぞれ見ながら。

[メイン] 野田コトネ : ……そう、意味不明な場所だからこそ。
…そんな事を言う彼が…気になる。

[メイン] カミナ : 「………」
混乱、狂騒、この状況でこれ以上膨らませるにはヤバい

[メイン] 中島敦 : 一歩出て。
ああ、愉しい。
なんと愉しい事だろうか。

[メイン] 野田コトネ : 顔色は、恐怖と好奇心の半々。

[メイン] ???? : 「ああ、"見たい"からっすよ、…………よいしょっと!!」

[メイン] ???? : そうして男は、あなた達に斬りかかった─────────。

[メイン] 中島敦 : “不相応な自尊心が肥大した獲物の、なんたる醜い事か!”

[メイン] カミナ : 「おう、おう、おう!!」

[メイン] 中島敦 : 3b10<=7 精神判定(発狂) (3B10<=7) > 5,1,6 > 成功数3

[メイン] あだぽしゃ : 震えに縺れる前に、それだけは避けようと

[メイン] カミナ : 刀を抜き放ち、怪しげな男に突き付け牽制する

[メイン] あだぽしゃ : 2b10<=9 精神判定(平静) (2B10<=9) > 1,6 > 成功数2

[メイン] 中島敦 : ストック1、判定5

[メイン] 野田コトネ : 3b10<=9 精神判定(発狂) (3B10<=9) > 10,2,7 > 成功数2

[メイン] system : [ 中島敦 ] 確保 : 0 → 1

[メイン] カミナ : 振替で肉体、いいか?

[メイン] 野田コトネ : あっ

[メイン] ???? : いいっすよ

[メイン] あだぽしゃ : 1ストック

[メイン] 野田コトネ : ……しずくちゃん援護~!

[メイン] カミナ : 2b10<=8 うわあり! (2B10<=8) > 6,3 > 成功数2

[メイン] カミナ : 3確保だ

[メイン] 野田コトネ : お守りみんな持ってない!

[メイン] あだぽしゃ : もってる

[メイン] あだぽしゃ : いる?

[メイン] 野田コトネ : あ、いたわ

[メイン] 野田コトネ : 欲しい!

[メイン] あだぽしゃ : あげる

[メイン] 野田コトネ : うわ!

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] お守り : 1 → 0

[メイン] 野田コトネ : 3b10<=9 精神判定(発狂) (3B10<=9) > 1,4,3 > 成功数3

[メイン] 中島敦 : 1か10しかないのかこのダイス

[メイン] 野田コトネ : いえーい、1と3確保!

[メイン] system : [ 野田コトネ ] 確保 : 0 → 1

[メイン] 野田コトネ : それはそう

[メイン] あだぽしゃ : コイントスの女神め

[メイン] ???? : こわいっす

[メイン] ???? : 兄貴は代替判定したんで侵蝕+2っす

[メイン] system : [ カミナ ] 侵蝕 : 5 → 7

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : ■一章ウラ② 侵蝕:1

 貴方の体に鉈が襲いかかる。
 肉が裂かれ、骨に引っ掛かった刃物は無理矢理押し通され、血飛沫を辺りに撒き散らす
 激痛により、貴方はその場に崩れ落ちるだろう。
 ……が、痛みは数秒で消えた。貴方の体の傷も瞬く間に消えた。

「……うーん」
 鉈を持つ男は壁を見て首を傾げる。そこでは貴方から噴き出した血液が、一つの絵画を作り上げていた。
 貴方にとって美しい郷愁を感じさせる『思い出深い光景』が、貴方の血によって再現されている。
「次描く絵の参考にさせてもらうっすね。ご協力ありがとうございます」
 男は貴方に対し、軽く頭を下げた。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[雑談] system : [ 野田コトネ ] 侵蝕 : 7 → 8

[情報] system : [ カミナ ] 侵蝕 : 7 → 8

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] 侵蝕 : 3 → 4

[メイン] system : [ 中島敦 ] 侵蝕 : 9 → 10

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] GM : 細身の体ながら、その力は、"異常"であった。

[メイン] GM : 前に出て、反撃せんとするカミナの胸を斬り。

[メイン] カミナ : 「ぐぁぁっ!?」

[メイン] GM : その後、続けて敦の腕を斬り。

[メイン] 中島敦 : ──痛みが走る。
今まさに、狩らんとした瞬間。

[メイン] 中島敦 : 「う、ぐうううっ!?」

[メイン] GM : 最後に、コトネ、あだぽしゃの腹を斬る。

[メイン] GM : 辺りに、血飛沫が舞い散る。

[メイン] 野田コトネ : 「っ、ひぁっ……!?」

[メイン] あだぽしゃ : 「ッ」

[メイン] 野田コトネ : お腹の辺りが、燃えたように熱くなる。

[メイン] カミナ : 「人が、名乗りをあげようって最中に……!汚ねえぞ!」

[メイン] GM : 激痛が迸る。
……が、痛みは数秒で消えた。貴方の体の傷も瞬く間に消えた。

[メイン] あだぽしゃ : 「ぁっ、ああッ」
赤い、赤い、赤い

[メイン] 野田コトネ : 「あ、かはぁッ………あ……あれ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ぅ、あ?」
だが、その赤は

[メイン] あだぽしゃ : 途切れて

[メイン] ???? : 「いやー、申し訳ないっす~、よく礼儀がなってないって言われてたもんで」

[メイン] 中島敦 : 深く息を吸い、吐き、痛みを霧散させようと。

[メイン] 中島敦 : 「き、さま……ァ……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ふーっ、ふーっ…」
呼吸を整える

[メイン] カミナ : 「……何だ、こりゃ。痛みが消えやがる」

[メイン] 野田コトネ : 痛みに耐えようと体を縮めるが、それの前に熱が消える…

[メイン] あだぽしゃ : 患部に傷は無い、斬られたはずなのに

[メイン] ???? : そうして、男は……あなた達から吹き出た血飛沫により、壁に作り出された……『作品』を、じっと見る。

[メイン] あだぽしゃ : 「…これ、は?」

[メイン] ???? : 敦の恨みの視線など気にせずに。

[メイン] 中島敦 : 誇りを濫りに弄ばれた獣は、獲物を睨みつける。

[メイン] あだぽしゃ : どういう事か、わからない

[メイン] 野田コトネ : 「……っ、た…なに……これ?」

[メイン] あだぽしゃ : だが、其処には

[メイン] あだぽしゃ : 自身から確かに噴き出た赤が形を成していて

[メイン] あだぽしゃ : 「…?」

[メイン] あだぽしゃ : 「絵、なの、かしら?」

[メイン] 野田コトネ : その視線のありかを確かめるように、壁を見る。
……そこには『絵』があった。

[メイン] カミナ : 「おい、ちびっ子!金髪の姉ちゃん!そっちは……あァ?」

[メイン] ???? : ──────壁に描かれた血飛沫は、あなた達4人にとっての……『思い出深い光景』を、描いていた。

[メイン] ???? : 「そっすね、絵っすよ~」

[メイン] 中島敦 : “目もくれない”。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] 中島敦 : “そんなもの、存在しないから”。

[メイン] ???? : 「ふ~~~~~ん」

[メイン] カミナ : そこに描かれたのは……
一つの背中

[メイン] あだぽしゃ : 「…どう、やって…そんな?」
そこに映るのは

[メイン] 野田コトネ : 「…あなたが…描いたの…?……”私たち”で?」

[メイン] カミナ : 小さな背中

[メイン] ???? : 「そっすよ」
コトネへ

[メイン] あだぽしゃ : 雪原横たわる、顔の見えない誰かと

[メイン] あだぽしゃ : 消えた灯と

[メイン] 野田コトネ : そこに映ったのはしずくちゃんと私のあの日の記憶……
が、描かれる。

[メイン] カミナ : 暗い洞窟の中、かつて見た。オレの目標
あの背中には、笑われねぇ男になる。そう決めた景色が、真っ赤な血で描かれていた

[メイン] あだぽしゃ : それを見て、顔を顰めて

[メイン] あだぽしゃ : 「…どうして、それが…」

[メイン] 野田コトネ : ……まぎれもない『私の過去』。

[メイン] 中島敦 : 痛みなど最早ない。
しかし鼻息荒く、歯を見せ、獲物を睨む様は。
絶対の狩りを穢された、獣の怒り。

[メイン] ???? : 「へぇへぇ……こりゃあいいっすね」
あだぽしゃ、コトネ、そしてカミナの"思い出"を眺めながら。

[メイン] あだぽしゃ : 痛みはもう無い

[メイン] 野田コトネ : …かちりと何かのピースが嵌る様に。
………この人は、もしや…。

[メイン] あだぽしゃ : だが、心には寒さのように蝕むささくれたような激痛が走り

[メイン] カミナ : 「……おい、ちびっ子。もう見るな、これ以上はやめとけ」

[メイン] ???? : 「これが、アンタ達の思い出ってわけですかい、とっても最高になったっす」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そ、う」

[メイン] 野田コトネ : 「……これがいいって事なの?…人の過去を見ることが…?」

[メイン] 野田コトネ : ”気になる”

[メイン] カミナ : 「オレの小っ恥ずかしい思い出が隣に映ってんだよ、見たらぶっ飛ばすかんな!!」

[メイン] 中島敦 : ───目もくれないは、こちらにも。
ああ、腹立たしい、腹立たしい、腹立たしい……!

[メイン] 中島敦 : 「おい……貴様ッ……よくも、舐めた真似をしてくれたな……!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…芸術というのなら、そうなのね」
冷たい、何処までも

[メイン] カミナ : そう言うと、絵を隠す為に前に出る

[メイン] ???? : 「大正解っす、アンタ達の"思い出"を見てみたかっただけっす」

[メイン] ???? : 「まぁまぁ、もう痛くないっすよね?」
敦の方を向き

[メイン] 野田コトネ : 誰かの記憶を覗き見る真似をするなら、それは……背徳の行為。
……それを重きに置いているということが、気になる。

[メイン] 中島敦 : 「黙れ……黙れ、黙れッ!」

[メイン] ???? : 「てかあれ?兄さんの思い出……無いんすか?」

[メイン] あだぽしゃ : 「見たくもなかったのに…」
ああ、忘れたい程、こうやって鮮明に浮かび上がるのだろう、いつもみたいに…

[メイン] 中島敦 : 己の穢れを見る。

[メイン] ???? : 敦から吹き出た血飛沫の先、壁の方を向く

[メイン] カミナ : 「………ったく」

[メイン] 中島敦 : ──思い出が、無い。

[メイン] 野田コトネ : 「…悪趣味じゃない、それ」

[メイン] ???? : そこには、べったりと、"ただの血飛沫"しかなかった。

[メイン] 中島敦 : ぎり、と見せた歯が軋む。

[メイン] ???? : 「よく言われるっす~」
コトネに

[メイン] あだぽしゃ : 息を吐いた、白くならぬ息を

[メイン] あだぽしゃ : 「……一つ聞いていい?」

[メイン] ???? : 「何すか?」

[メイン] あだぽしゃ : 「これって、他にもされた人いるのかしら…貴方の言い分だと」

[メイン] 野田コトネ : 「結構素直なのね、あなた……」
恐怖は消えて、好奇心だけがそこに残る。

[メイン] ???? : 「何人か同じことしたっすよ~」

[メイン] あだぽしゃ : 「…それは、今日?」
目を逸らす、思い出なるものから

[メイン] ???? : 「ん~~~、覚えてないっすね」

[メイン] ???? : 「あんま時間とか」

[メイン] 中島敦 : つまりは、十把一絡の有象無象でしかない。
……獣の誇りは、悪戯に、ただただ、悪戯に掻き乱される。

[メイン] ???? : 「覚えてないっす」
へらへらしながら

[メイン] 野田コトネ : そう、悪趣味。悪趣味だけど。
……この絵には、どこか惹かれる。

[メイン] 野田コトネ : それはきっと”面白い”から。

[メイン] 中島敦 : 同時に。

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう」
不可思議だ、そのおかげで目を背けられたけれど

[メイン] ???? : 「姉さん、興味あるっす?」
コトネに

[メイン] 中島敦 : 十把一絡の有象無象として扱えるのであれば。
それは、つまり。

[メイン] 中島敦 : 格が、違う。
根底から。

[メイン] ???? : そう言い、壁に作られた思い出を見る。

[メイン] 野田コトネ : 「…あーまーね、嫌いじゃないよ」

[メイン] 中島敦 : 獣であるが故に、理解は容易かった。

[メイン] あだぽしゃ : 「…貴方、名前は?」

[メイン] ???? : あだぽしゃの方を振り向き

[メイン] カミナ : 「……仕方ねぇ、悪いな。シモン」
少し、映った思い出に侘びを告げて

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? : ■幕間①

「あっ、そういや名乗ってなかったっすね。俺は『加賀映人(かがえいと)』っす」
 彼は軽い調子で名乗った。手慰みに鉈を揺らしながら、自己紹介を続ける。
「えーと、画家ですね。ただ、ちょっと、まあ……『美しい』ってのを探してることと、とっくに破滅してることだけが周りと違ってて」
 鉈は貴方に向けられた。
「だからアンタの頭、叩き割って、アンタが美しいと思うもんを見たい。そういう力を手に入れたんです」
 ……物騒なことを言いながら、全く表情が変わらない男だ。

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? :  

[メイン] ???? : 「俺、加賀映人って言うっす」
へらへらしながら、鉈を揺らしながらそう語る

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう」

[メイン] カミナ : どこからか取り出したマントで、血を全て拭い去ろうとする

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方が、弟子でもあったという、加賀さんだったって事かしら…」

[メイン] あだぽしゃ : 聞き覚えのある、名前だったもの

[メイン] 野田コトネ : 「……なーるほどね、あなたが」

[メイン] 加賀映人 : 「大正解っす!そうっす、俺、こう見えても画家なんすよ」

[メイン] 加賀映人 : 「俺、『美しい』ものが知りたくて」

[メイン] あだぽしゃ : 「…判りやすいわよ」
苦笑いする

[メイン] 加賀映人 : 「そりゃどうもっす!」
へらへら笑う

[メイン] あだぽしゃ : 「その服に巻き散らかされたの、血だけじゃなく…絵具でしょ?」

[メイン] 中島敦 : 加賀。
……奴の記憶は鮮明に思い出せる。
愚かにも残された弟子への同情など想いおって。

[メイン] 中島敦 : 実情はどうだ?
こんな狂人じゃあないか。

[メイン] あだぽしゃ : 「…とは、いえ…」

[メイン] 野田コトネ : 「じゃあ…高井さんでも目指してたりするの?」

[メイン] 加賀映人 : 「おっと兄さん! ……まぁいいやっす、見たいものは見れたからいいっす」
拭われた『作品』を見ながら

[メイン] 野田コトネ : 「弟子さん、なんでしょ?」

[メイン] 加賀映人 : 「………そうっすね」

[メイン] カミナ : 「……で、こんな事になったわけか」
血を拭い、只の赤色に戻すと一層赤を背負ったマントを羽織り

[メイン] あだぽしゃ : 己が理想を、誰かの想いで代行するのは

[メイン] あだぽしゃ : …好きじゃない

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 : ■幕間②

「ああ、あの人は憧れです。俺の。あの人の絵に惚れて、絵を描き始めたんすよ」
 彼は軽い調子で言った。手慰みに鉈を揺らしている。
「凄いっすよね。生涯を通してずっと、『死』を描くなんて。そして本人もさっさと死んじまって。勝ち逃げっすよ。まだまだ教わりたいことがあるのに」

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 野田コトネ : 野田家とのことでもなく、しずくちゃんとの甘い思い出。
……それが消えていく、でも気にせずに。

[メイン] 加賀映人 : 「あの人は……俺の憧れっすね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」
憧れ、か

[メイン] カミナ : 「憧れね、詳しく聞かせろや」

[メイン] 野田コトネ : …彼女は思い出になっていないから。

[メイン] 加賀映人 : へらへらしながら頷き

[メイン] 中島敦 : 眉根に皺を寄せたまま睨む。

[メイン] 野田コトネ : ”面白い”彼の話に耳を傾ける。

[メイン] 加賀映人 : 「あの人、生涯を通してずっと『死』を書いてるんすよ、そんな姿に俺、引き込まれて……憧れて……それで俺も画家を目指すようになって」

[メイン] あだぽしゃ : 「…………生涯通して、ね」

[メイン] 加賀映人 : 「だから俺の、あの人のようになりたいって思っていたら」

[メイン] 加賀映人 : 「死んじまったんすよ」

[メイン] 加賀映人 : 「笑えるっすよね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] 加賀映人 : 「"死"を書き続けて」

[メイン] カミナ : 「………そいつぁ、残念だったな」

[メイン] 加賀映人 : 「それで最終的には、自分も作品になっちまったなんて」

[メイン] 加賀映人 : 「俺、何も学べてないのに」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「生前、関わる機会はあったんじゃないの?」

[メイン] あだぽしゃ : 「どれだけの期間かは、知らないけれど」

[メイン] 加賀映人 : 「ええ、たくさん関わってきたっすよ、画家としての在り方、あ、もちろんスキルとかも、色々と教わってきたっす」

[メイン] 加賀映人 : 「でも」

[メイン] カミナ : 「……自分も作品になった?」

[メイン] 加賀映人 : 「分からなかったっす」

[メイン] あだぽしゃ : 「……その人は、いくつもの絵を遺してくれてたのに」

[メイン] 野田コトネ : 「私はよくそういうの知らないけどさ、作品を残せたのなら…いいことじゃないの
……残された人にとってはたまったもんじゃないだろうけどね」
残された人……加賀の方を見て。

[メイン] あだぽしゃ : 「……ふむ」

[メイン] 中島敦 : 芸術とは、感性の世界だ。

[メイン] 中島敦 : 理解が出来ないのであれば、そこで終わり。

[メイン] 中島敦 : 鼻で笑う。

[メイン] あだぽしゃ : 「……もう一つ、聞いてもいい?」

[メイン] カミナ : 「遺体が作品だってのか?けどよ、それも行方不明になっちまったんだ。何かしらねえか?」

[メイン] 加賀映人 : 「…………」
カミナの方を向き

[メイン] 加賀映人 : 「さぁ、どこにあるんでしょうね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」
随分と、熱の無い言葉

[メイン] 加賀映人 : 「……そうっすよ、ほんと、たまったもんじゃないっすよ」
コトネの方を向き

[メイン] 加賀映人 : 「……それで?なんすか?」
あだぽしゃの方を向き

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方は、その」

[メイン] あだぽしゃ : 「生前、一つの絵を頼んだと聞いたの」

[メイン] あだぽしゃ : 「……郷愁って一枚、それは…何を想って頼んだのかしら」

[メイン] 加賀映人 :

[メイン] 加賀映人 :

[メイン] 加賀映人 :

[メイン] 加賀映人 : ■幕間④

「あれは……」
 男は悩むように言葉を詰まらせたあと、答えた。
「俺が、頼んだ絵です。呆れられましたけど。それでも、描いてくれたのが嬉しかった……俺の思う美しさを、あの人なりに探してくれたのが、嬉しかった」
 これ以上は語りたくなさそうだ。

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 : 「あの絵は……」

[メイン] 加賀映人 : 「俺が、『美しい』ものが何か、わからなくて」

[メイン] 加賀映人 : 「それで、あの人に頼んだんすよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「……それが、郷愁」

[メイン] 加賀映人 : 「呆れ顔向けられながらも、それでも描いてくれて……へへ」

[メイン] 加賀映人 : 「ほんと、いい人だった、もっと知りたかった」

[メイン] あだぽしゃ : 「…知りたい、か」
揺らめく、陽炎のように誰かの姿

[メイン] 野田コトネ : 「…あなたなりに…あの人の事を思ってたんだね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……でも、果たされなかったものね」
息を吐いて、払って

[メイン] 野田コトネ : 知りたい、その感情は私にもある。
……この人の事をもっと知りたい。

[メイン] カミナ : 「……その点でいや、お前と俺は同じ目的ってわけか」

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、そうね」

[メイン] 野田コトネ : ……この人、加賀さんは…どこか”人間らしい”

[メイン] あだぽしゃ : 「その表すべき郷愁は、本当に…誰かから引き出してまで、なのかしら」
疑問は、重い

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方の大事な一枚は、その人がその人として描いた"郷愁"なのよ」

[メイン] 野田コトネ : 話せば話すほど普通の人に見えていくような。
……ただひたすらに”狂気”に飲まれているけれど。

[メイン] あだぽしゃ : 「…切り裂いて、外に引きずり出すのは…」
好きじゃない、というのは私の言葉だから

[メイン] 加賀映人 : 「……………」

[メイン] あだぽしゃ : 「……表現では、無いわよ」
独りよがり過ぎるのは、本当だ

[メイン] 加賀映人 : 「………」

[メイン] 加賀映人 : 「アンタに何が分かるんすか」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] 加賀映人 : 怒りの表情へ。

[メイン] 加賀映人 : 鉈を、強く握りしめていた。

[メイン] あだぽしゃ : 「芸術なのは認める、でも」

[メイン] カミナ : 「ウッセーばーか。お前もわかってねえじゃねえか」

[メイン] 野田コトネ : 「まぁまぁ二人とも~!」

[メイン] カミナ : 「わからねえから、今こうして必死こいてやってんだろ。何がわかるか……なんて言える立場じゃお互いねえよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「そう言った景色は、自分が表したいと願ってやまないのよ」
そうして、ただ奥底に眠らせたい思いもある

[メイン] 野田コトネ : その間に割って入る。
そして加賀の方を見て。

[メイン] 加賀映人 : 「…………」

[メイン] あだぽしゃ : 「……私は、この思い出と」

[メイン] あだぽしゃ : 「私の形で向き合っていたの、だから……」

[メイン] あだぽしゃ : 「……少し、苦しいだけよ」
ずっと寒いもの、あの日のまま

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方の見たいものは否定しない、でも」

[メイン] あだぽしゃ : 「……断りくらいは、入れてあげて欲しいわね」
苦笑いする、何も笑えていない程に下手糞な

[メイン] 加賀映人 : 「…………」

[メイン] 加賀映人 : 「そこは確かにそうっすね」

[メイン] 加賀映人 : 「申し訳なかったっす」

[メイン] あだぽしゃ : 「……いいのよ」
目を背けた

[メイン] カミナ : 「オレが許す、お前らも許せ」

[メイン] 野田コトネ : 「……それにほら。あなたが表現したいものを見つけてる途中ならさー、ほら…もっとほかの方法もあるんじゃないの」

[メイン] 野田コトネ : 私は気にしてないよ、というように手を振って。

[メイン] あだぽしゃ : 「……ああ、そうだ、じゃあ」

[メイン] 中島敦 : 睨む。

[メイン] あだぽしゃ : 「その、一つ見たいの、だけど」

[メイン] 中島敦 : 心底嫌そうな顔。

[メイン] あだぽしゃ : 「……貴方自身の"郷愁"は、有るのかしら?」

[メイン] 加賀映人 : 「………俺のっすか」

[メイン] 加賀映人 : そう言うと

[メイン] あだぽしゃ : 「ええ」

[メイン] 加賀映人 : 男は、鉈で

[メイン] 加賀映人 : 自分の腕を

[メイン] あだぽしゃ : 「っあ」

[メイン] 加賀映人 : 斬り落とした。

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] あだぽしゃ :

[メイン] 加賀映人 : ■幕間③

「それもやってみたんすけどね」
 言いながら、男は自分の腕に鉈を振り下ろす。何の躊躇いもない刃物の一撃は容易に彼の腕を切り裂き、血を噴き出させた。血液はボタボタと床に落ちる。
 が。
「……ほら、俺だと何の絵にもならないんすよ。俺の怪異だからっすかね」
 血液はただの血痕としてそこに残り、何かを描くことはなかった。

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 : 「俺も、それ、見ようと思ったんすよ」

[メイン] 加賀映人 : 「でも、この通りっす」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「……ああ、成程」

[メイン] 加賀映人 : そこには、敦と同じく。

[メイン] 加賀映人 : ただの、血。

[メイン] カミナ : 「……あん?」

[メイン] あだぽしゃ : 赤が、散っている

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「それは、そうね」

[メイン] 野田コトネ : 「っわ……うえ、……赤」

[メイン] 中島敦 : それを、見て。

[メイン] 中島敦 : ───はは。なんだ。

[メイン] 中島敦 : 俺と同じか。

[メイン] あだぽしゃ : 「……一つ、思ったの」
頬に散った彼の血を拭う

[メイン] 野田コトネ : ……そこに”面白い”モノは映っていなかった。

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方の、ソレは…」

[メイン] あだぽしゃ : 「……自身が郷愁だと、定義してる物を映してるだけ、なんじゃないのかしら…?」
尤も、確証など無いけど

[メイン] 加賀映人 : 「………というと?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あまり口にしたくは、無いけど」

[メイン] あだぽしゃ : 「この絵は、私が忘れたくても忘れられない景色で、ずっと心に残ってた」

[メイン] あだぽしゃ : 「他の二人のも、多分…理由は測りかねるけど、そう」

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、貴方にソレがないのは多分……」

[メイン] あだぽしゃ : 「向き合い続けてる内に、悩んでしまったからじゃないかと、思うの」

[メイン] 加賀映人 : 「………………」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そのやり方以外で、表現しようとしたことはあると思う」

[メイン] あだぽしゃ : 「でも、多分……だけれど、その」

[メイン] あだぽしゃ : 「自分でも満足はしなかった、んじゃあ……ないかしら?」

[メイン] 加賀映人 : 「……」

[メイン] 中島敦 : 「……………」

[メイン] 加賀映人 : 「………だから、こうしてるんじゃないすか」

[メイン] 加賀映人 : 「だから俺は、アンタらの『思い出』を見て……!」

[メイン] あだぽしゃ : 「違うの、待って」

[メイン] 加賀映人 : 「『美しさ』が何かを知ろうとしてるんだ!!」

[メイン] カミナ : 「うるせぇ!!!!」

[メイン] 加賀映人 : 「……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あの人、いや…高井さんの背を見ていたでしょ?」

[メイン] カミナ : 「ゴチャゴチャ騒ぐ前に頭冷やせってんだ!!見てるだけで、習えるなら苦労はしねえんだよ!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あなたにとって、その人は完成してたかしら?」

[メイン] あだぽしゃ : 「あの無数の絵画が、全て完成に至ってたかしら」

[メイン] カミナ : 「どんなに尊敬してようが、なりたかろうがな。テメェ、ここでバカやってずっとダメだったんだろうが!!」

[メイン] カミナ : 「今は耳かっぽじって良く聞けや!!」

[メイン] 加賀映人 : 「そうっすよ、あの人は完成していた……!!"死"というテーマで……『美しさ』を表現し尽くしていた!!」

[メイン] 加賀映人 : 「………」

[メイン] あだぽしゃ : 「…本当に?」

[メイン] あだぽしゃ : 「だって、完成してたのなら」

[メイン] あだぽしゃ : 「生涯を賭け尽くす程の絵が必要だったの?」

[メイン] 加賀映人 : 「…………!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…満足いく表現は、終点だと思う」

[メイン] あだぽしゃ : 「筆を置く瞬間は、今わの際まで来なかった」

[メイン] あだぽしゃ : 「…完成させたくて書き続けてたんじゃ、ないのかしら」
焼き付いた、表現の数々を想い

[メイン] 野田コトネ : あだぽしゃの言葉を聞いて、少し考えて。

[メイン] 野田コトネ : 「…完璧な作品なんて、あなたが満足するまで作れないのはそうだろうけど
他の人を見過ぎてもダメなんじゃない?」

[メイン] 野田コトネ : 「……だってほら、結局は…『郷愁』も自分自身のものじゃない」

[メイン] 加賀映人 : 「……うるさい……五月蠅い五月蠅いッッ……!!!」

[メイン] 加賀映人 : 泣き叫ぶように、怒鳴り散らしながら

[メイン] 中島敦 : 「………」

[メイン] あだぽしゃ : 「…これだけは、言わせて」

[メイン] 加賀映人 : 映人は、館内の奥へと、逃げるように

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] 加賀映人 : 走って行った。

[メイン] 中島敦 : 高ぶり、熱のこもっていた芯はすっかりと冷めて。

[メイン] 中島敦 : 背を見る視線は。

[メイン] あだぽしゃ : 「…行っちゃった、か」
肩を揺らす

[メイン] 野田コトネ : 「あっ、別に攻めるわけじゃ……」

[メイン] 中島敦 : ………どこか、同情的で。

[メイン] カミナ : 「ま、お前らは良くやったよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「……いや」

[メイン] 野田コトネ : そう、攻めるわけじゃない…
私の面白い物を知る様に、あの人の”興味”を知りたかっただけ。

[メイン] あだぽしゃ : 「ここは、彼のせいでおかしくなった空間じゃあ、ないのかしらね?」
冷え込む思考で

[メイン] 中島敦 : 指を軽く顎に当て、少女の言葉に首を傾げる。

[メイン] 中島敦 : 「……さあな」

[メイン] あだぽしゃ : 「だから、諭しきれないと、ダメかと思ったけども」
自嘲しつつ、目を細めて

[メイン] あだぽしゃ : 「…まぁ」

[メイン] 野田コトネ : 「ううん、あなたはいいこと言ってたと思うよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「今は、"出口"を探すしかないわね」
それが探して見つかるか、言った通りかは知らないけど

[メイン] 中島敦 : 鼻を鳴らし、歩き出す。

[メイン] 中島敦 : 「だったら、とっとと進むぞ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そうかしら」
コトネを見る

[メイン] カミナ : ……いい方向に傾いたはいいがよ

[メイン] 野田コトネ : 「…ほら、だって…がむしゃらにアレを続けてたならあの人の”見つけたいもの”もみつけられないでしょうしね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……まぁ、そうでしょうね」
軽く頷いて

[メイン] カミナ : ……やる事ねえな、オレ

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、それを改められるかは、難しい物よ…今みたいにね」
先に進む彼の背を見て、歩き出す

[メイン] あだぽしゃ : 足取りは重い

[メイン] あだぽしゃ : 雪に足を取られるかのように、彼女の歩みは鈍かった

[メイン] 野田コトネ : 「…ま、気づいてくれればわかってくれるよ~」

[メイン] 野田コトネ : その足に合わせるかのように、歩を進めていった。

[雑談] system : [ 中島敦 ] 侵蝕 : 10 → 12

[雑談] system : [ 野田コトネ ] 侵蝕 : 8 → 10

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] 侵蝕 : 4 → 6

[雑談] system : [ カミナ ] 侵蝕 : 8 → 10

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ : ああ

[メイン] あだぽしゃ : 息を吐く

[メイン] あだぽしゃ : 白い、息を

[メイン] あだぽしゃ : …寒いわ、とても寒い

[メイン] あだぽしゃ : 結局…"まだ"、"また"、わかり合えなかった

[メイン] あだぽしゃ : 彼は悩んでるのでしょうね、ずっと悩んでたのでしょうね

[メイン] あだぽしゃ : …私と似ている

[メイン] あだぽしゃ : 死に、死を引き摺っている

[メイン] あだぽしゃ : それは、決して朽ちない、褪せる事も無い死だ

[メイン] あだぽしゃ : 心にこびり付く、思い出とすら言うのも烏滸がましい

[メイン] あだぽしゃ : 死蝋に果てて、永遠に居座って

[メイン] あだぽしゃ : …だから、私は

[メイン] あだぽしゃ : 理解を示したいと願った

[メイン] あだぽしゃ : だって、幸運の筈だもの

[メイン] あだぽしゃ : あの先の見えない雪原の中、同じ思いを抱えている筈、そうでしょ?

[メイン] あだぽしゃ : 行きましょう、息を吐いて、足を上げて

[メイン] あだぽしゃ : 何もかも脱ぎ捨てて、終わってしまう前に

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ : 寒さを払い、追う背を捉える

[メイン] あだぽしゃ : ずんずんと、先へ先へ進む彼

[メイン] あだぽしゃ : 想えば、様子を大きく変えた、その姿

[メイン] 中島敦 : ──足音を止める。

[メイン] あだぽしゃ : 「…早いわね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あら」

[メイン] 中島敦 : くるり、と振り返り。

[メイン] 中島敦 : 「何だ」

[メイン] 中島敦 : 機嫌が悪そうに、一言。

[メイン] あだぽしゃ : 「いえ、ただ」

[メイン] あだぽしゃ : 「随分と…様子を違えていて、気になったのよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…前よりも、元気そうではあるしね」

[メイン] 中島敦 : 様子。ああ、クソ。
下手に奴と顔を合わせていたな。

[メイン] 中島敦 : 「別に。お前には関係のない事だろう」

[メイン] あだぽしゃ : 「…状況が状況だし、少し気になってね」

[メイン] あだぽしゃ : 「関係無いとは言い難いわよ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「お互い、残っていないとはいえ…痛い思いもしたしね」

[メイン] 中島敦 : 「……………」
不愉快そうに顔を背けて。

[メイン] あだぽしゃ : 「…それに、見知ってしまった顔に何かあるのは…好い気はしないものよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、そうね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……もしかしたら、"貴方"はそうでも無いのかも、知れないけども」
少し、聞いたことはある

[メイン] あだぽしゃ : 多大なストレスからの逃避、自身を守る為に別の人格を用意する事で、別人になり切る症状…

[メイン] あだぽしゃ : 「……でも、まぁ…だとしても」
尤も、外れていたらその時はその時だが……

[メイン] あだぽしゃ : 「知人の知人だって、好い気はしない、でしょ?」

[メイン] 中島敦 : 鼻を鳴らし。

[メイン] 中島敦 : バツが悪そうに、顔を背けて。

[メイン] 中島敦 : 「……………非常時に情けなく震えるよりかは、マシだろう」

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、蛮勇になってしまうのも考え物よ」

[メイン] あだぽしゃ : 「相手が見えきってるわけじゃないのだし、一人だけで進むのは危ないでしょ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「……自分の為でもいいから、誰かを利用していいんじゃない?」

[メイン] 中島敦 : 居心地が悪い。
……居心地が、悪い。

[メイン] 中島敦 : そもそも、俺が不愉快なのは何か。
それは奴が“目が覚めた”その時、泣き喚かれる事だ。

[メイン] 中島敦 : この知人未満、同行者以上の少女だろうが、失わせたら恐らく奴は泣き喚くだろう。
そういう奴だ。
出来もしない癖に、勝手に情を抱き、責を抱き、己を責める。

[メイン] 中島敦 : ちっぽけな自尊心を一丁前に抱き、勝手に己を責める。

[メイン] 中島敦 : それが不愉快だから、出しゃばらせるのが嫌なんだ。

[メイン] あだぽしゃ : 機嫌の悪そうな顔を、覗いて

[メイン] 中島敦 : 「……っ」
眉を顰めて、目を逸らす。

[メイン] 中島敦 : 「……………」

[メイン] 中島敦 : 「……まだ貴様は、年端も行かんだろう」

[メイン] 中島敦 : 「ならば、俺のような奴の後ろにいろ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…さぁ、でもこの状況では特に関係は無いと思うけど」

[メイン] 中島敦 : ぶっきらぼうに、そう呟く。

[メイン] あだぽしゃ : 「…一つ、聞いていいかしら?不躾かもだけど」

[メイン] あだぽしゃ : これを聞いてしまうのは、些か失礼かもしれないが、だが…

[メイン] あだぽしゃ : 「"貴方"の名前は?」

[メイン] あだぽしゃ : 「今、目の前の人に聞いているから」
念を押す様に

[メイン] 中島敦 : 鼻を少し慣らす。
呆れ、苛立ち──。

[メイン] 中島敦 : ──諦観。

[メイン] 中島敦 : 「“俺”は」

[メイン] 中島敦 : 「“中島敦”だ」

[メイン] 中島敦 : 俺は、俺でしかない。
聞かれるまでもなく、誰に聞くまでもなく。

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう」
納得するように、相槌を打って

[メイン] 中島敦 : 「…………お前」

[メイン] あだぽしゃ : 「…?」

[メイン] 中島敦 : 「“惹かれ”すぎるなよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」
少し、目を見開いて

[メイン] あだぽしゃ : 「…そうね、ええ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…"そんな想い"をするのは、勘弁だものね」
燃え上がる様な、悪意の記憶から

[メイン] あだぽしゃ : 少しだけ、意識を引き戻す

[メイン] あだぽしゃ : 「…まぁ、でも」

[メイン] あだぽしゃ : 「ソレは、前に出る貴方にも言えるでしょ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…疲れ過ぎないでね」
ポッケから、飴を取り出して

[メイン] system : [ あだぽしゃ ] 薬 : 1 → 0

[メイン] 中島敦 : きょとん、とした顔でそれを見て。

[メイン] system : [ 中島敦 ] 薬 : 1 → 2

[メイン] あだぽしゃ : 「純粋な心配よ」

[メイン] あだぽしゃ : 「暴れたら疲れるのだし、栄養補給くらいはしないとね」

[メイン] 中島敦 : 「……俺は、子供じゃない」

[メイン] 中島敦 : 「……………………だが……まあ………」

[メイン] 中島敦 : ああ、クソ。

[メイン] 中島敦 : 躊躇でふらり、ふらり、と手を揺らし、しかし。

[メイン] 中島敦 : それを受け取り。

[メイン] あだぽしゃ : 「子供じゃなくても心配するものでしょ」

[メイン] 中島敦 : 「…………………………………」
がしゃがしゃと包みを乱雑に開き、口に運んだ。

[メイン] system : [ 中島敦 ] 侵蝕 : 12 → 8

[メイン] あだぽしゃ : 「お互い、知人になってしまったのだしね」
苦笑いする、柔らかく

[メイン] 中島敦 : 「…………悪くない」

[メイン] あだぽしゃ : 「…なによりよ」

[メイン] 中島敦 : 「………アイツの相手をするなら、1つだけ言っておく」

[メイン] あだぽしゃ : 「ええ」
向き直す

[メイン] 中島敦 : 「感性の穴は、埋められん」
それは、痛い程知っていて
「これは生まれつきだ。感受性とは、絶対的な生まれのセンスだ」
奴は、それに苛まれ続けて
「……完全な理解が出来る、とは思うな」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] 中島敦 : 「………だが」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ」

[メイン] 中島敦 : 彼奴は。
あの、臆病な自尊心を抱えたあの男なら。
きっとこのような能天気な事を抜かすのだろう。

[メイン] 中島敦 : 「…………理解が出来ずとも、傍に居られない訳ではない」

[メイン] あだぽしゃ : 「……ええ、そうね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…今回、どこまでしてやれるかなんてわからないけど」

[メイン] あだぽしゃ : 「……後悔するような終わりは、それだけは」
幻視する、吹雪を

[メイン] あだぽしゃ : 「……無いと良いわね」
懺悔の一つも残さないように、進もう

[メイン] あだぽしゃ : だって、誰かを悲しませてしまうから

[メイン] あだぽしゃ : 総てを終えた私は、死者と同じで

[メイン] あだぽしゃ : 誰かに引きずらせては、いけないわよ

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「そろそろ、行かないと、かしらね?」
止めた脚から寒さが昇る

[メイン] 中島敦 : 「……ああ」

[メイン] 中島敦 : 「奴を追うのだろう?」
それは、自分の為でもある。

[メイン] あだぽしゃ : 「そうね」
「行かないとね」

[メイン] 中島敦 : 誇りを穢された、雪辱は晴らさねばならない。
虎として生きるのであれば、追い求める他ない。

[メイン] あだぽしゃ : 「…ありがとうね?」

[メイン] あだぽしゃ : 感謝を込めて、目の前の人へ

[メイン] 中島敦 : ………居心地が、悪い。

[メイン] あだぽしゃ : そして、雪原へ、もう一度足を進めたのだった

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] system : [ 中島敦 ] ツナガリの数 : 3 → 4

[ツナガリ] system : [ 中島敦 ] ツナガリの数 : 4 → 3

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ : 迷路のように入り組んだこの場所で彼を追いかける……
私の一歩前に、独特の雰囲気のまとわせる少女。

[メイン] 野田コトネ : 厚手のコートを着て、寒そうに白い息を吐く彼女のことを…私は。

[メイン] 野田コトネ : 何があったのか知りたい。

[メイン] あだぽしゃ : …ふと、意識を向けられたのに気づく

[メイン] 野田コトネ : 「ね、ええっと…名前なんだっけ」

[メイン] 野田コトネ : ……怖いから、だからこそ知って。
……恐怖を和らげるために。

[メイン] あだぽしゃ : 振り返って、黄金のような髪を靡かせる彼女を見て

[メイン] あだぽしゃ : 「私は…あだぽしゃよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「名乗り損ねてたわね、ええ」

[メイン] 野田コトネ : 「へえ、面白い名前じゃん!
それなら私は野田コトネ~、よろしくハロリン!」

[メイン] あだぽしゃ : 「コトネ、ね」
明るい声に少し気圧された、尤もこの名前は…

[メイン] 野田コトネ : 独特な挨拶を返して、名乗りを返す。

[メイン] あだぽしゃ : 「…よろしくね」
死蠟だなんて、いい意味じゃないのだけど、ね

[メイン] あだぽしゃ : 「……こんな状況だけど、元気そうね」
笑顔に、少し不思議に思って

[メイン] 野田コトネ : 「…名前のこともそうだし、さっきの画家さんとの話し合いもそう!
なんだか一歩違う感じするんだよね~」

[メイン] 野田コトネ : 「…そう見えるかな、それはね…ぽしゃちゃんとのお話が楽しいからだよ~」
にまにまと笑うような顔で。

[メイン] あだぽしゃ : 「……一歩違う?」
なんともいいがたい表現

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう、面白いと言われるのは初めてね」

[メイン] 野田コトネ : 知らないことを知ることは普通”面白い”もん。

[メイン] 野田コトネ : 「…うん、『郷愁』の反応もそう」

[メイン] あだぽしゃ : 「まぁ、悪い気はしないけど…」

[メイン] あだぽしゃ : 「……郷愁」
少し顔を顰めてしまう

[メイン] 野田コトネ : 「……ずばり直球、あなたの『郷愁』は…思い出したくなさそうだったよね
なんでかな?」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 不躾な質問ね、と言いたいけども

[メイン] あだぽしゃ : ……黙っているのも、か

[メイン] あだぽしゃ : 「……あれは、そうね」

[メイン] 野田コトネ : 「…私の過去はありきたりな幸せだったからね、気になったんだ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…昔の、大事な人よ」

[メイン] 野田コトネ : 「…ああ、それは……ごめんね」

[メイン] あだぽしゃ : 「もう、居ない人」

[メイン] あだぽしゃ : 「……いいの」

[メイン] 野田コトネ : 昔の、という言葉が付いていることに。
流石に悪いこと聞いちゃったな、とも思いながら。
好奇心は止まらずに。

[メイン] あだぽしゃ : 「私の選んだ事、だし」

[メイン] 野田コトネ : 「……へえ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] 野田コトネ : ”理解”したい、彼女のことを。

[メイン] あだぽしゃ : 「本当なら、此処には居なかったのよ、私は」

[メイン] あだぽしゃ : 「死んでお終い、終幕は…見届けたのにね」
寝そべった、白いベッド

[メイン] あだぽしゃ : 隣には"あなた"が居て、私は寒さも忘れて…

[メイン] あだぽしゃ : 夜闇を照らす松明も消して、眠ったつもりだったけど

[メイン] あだぽしゃ : 「…どうしてか、私は…生きてるだけ」

[メイン] 野田コトネ : 「…なるほど、だから……ここ、『死』の美術館に来たってことね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…少し、気になってね」

[メイン] あだぽしゃ : 「死を迎えたはずだったけど、逃れたから」

[メイン] あだぽしゃ : 「改めて、見返して…誰がどう捉えてたかも…気になっててね」

[メイン] 野田コトネ : 「……うーーーん、それならさ。ぽしゃちゃんの”楽しいこと”は何もないの?」

[メイン] 野田コトネ : 「なんだか、投げやりに見えるしね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 「…何も無い、ように思えててね」

[メイン] あだぽしゃ : 「私は…終わった後で、手元には何も残ってないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「次を願ったのに、私は"私"のままで、進めないから…だから」

[メイン] あだぽしゃ : 「…楽しくない、のかもね」
自嘲して、でも何を嘲笑ったのかも良く分からないまま

[メイン] 野田コトネ : 「…次に進めない、ねえ…」

[メイン] 野田コトネ : 「加賀さんと話してる時はどうだったの?あなた、自分から追いかけようとしてたじゃん」

[メイン] あだぽしゃ : 「…少し、共感したと言うべきかしら」
もがき続ける姿を想い

[メイン] あだぽしゃ : 「私と似てる、だけど私と違うの」

[メイン] あだぽしゃ : 「死を引き摺って、何もできてない」

[メイン] あだぽしゃ : 「だけど、彼なら付き合い方を改める事もできるはず、そう思ってね」

[メイン] あだぽしゃ : それが私のするべきこと、そう想いもする、だからこそ

[メイン] 野田コトネ : 「ははあ…なるほどね。
じゃあそれがぽしゃちゃんの”楽しいこと”、かな?」

[メイン] 野田コトネ : 「…同じ立場にある誰かを思って、それに寄り添うとすることが」

[メイン] あだぽしゃ : 「…寄り添う、のも必要だけど」

[メイン] あだぽしゃ : 「……最後には見送るのが、必要よ」

[メイン] 野田コトネ : 「なんでさ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「寒い場所には、ずーっとはいちゃいけないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「いつか死んでしまうから、帰してあげないと」

[メイン] 野田コトネ : 「じゃ、手を引いて温かい場所に連れて行ってあげなよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…それは、出来ないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「私はもう、そこにあるものが全てで、そこが最後だから」

[メイン] あだぽしゃ : 「私の、郷愁だから」

[メイン] 野田コトネ : 「そんなことないよ、だってほら…ぽしゃちゃんは今ここにいるじゃん」

[メイン] 野田コトネ : 「『郷愁』は…思い出として残り続けるものでしょ?
でも、あなたは少なくとも…それとして終わってないんだから」

[メイン] 野田コトネ : ……少なくとも私がしていることはそれ。
嫌なものに対面したら、逃げるか立ち向かわなければならない。
………私は逃げる、楽な方に。

[メイン] あだぽしゃ : 「…私は……」

[メイン] あだぽしゃ : 郷愁と、言ってしまうにはそれは

[メイン] 野田コトネ : 「うんうん」
笑顔で、しかし真剣なまなざしで

[メイン] あだぽしゃ : 余りにも醜いの、余りにも見苦しいの

[メイン] あだぽしゃ : それは、私が…諦めて、逃げて、ダメだった事の象徴で…

[メイン] あだぽしゃ : 「生きている事が、正しいと言えると、思う?」
不意に、口から漏れ出る問い

[メイン] 野田コトネ : 「正しいか正しくないかなんて決めらんないよ、生きることに」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう、かしら」

[メイン] 野田コトネ : 「そうそう、誰だって生きてたっていいはずだよ、そのために逃げたって…私は攻めないしね」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] 野田コトネ : …私自身そうだもん、立ち向かうよりも逃げることを選択するだろうから。

[メイン] あだぽしゃ : 「私は、ずっと間違えたと思ってる」
懺悔する

[メイン] あだぽしゃ : 「あそこで立ち向かわなかった事」
懺悔する、発端を

[メイン] あだぽしゃ : 「逃げて、逃げ続けて」
懺悔する、選んだ事を

[メイン] あだぽしゃ : 「あの人が、どう想ってたか、わかり切れて無くて」
懺悔する、すれ違った事を

[メイン] あだぽしゃ : 「…最後に、何もかも分かり合えてないまま…今生きていることを」
懺悔する、今を

[メイン] 野田コトネ : 「…そっか、それを思えるほどあなたにとっても大切な人だったんだね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…だって、その結末は」
心にこびり付く郷愁、それは

[メイン] あだぽしゃ : 「総て、愚かな私がしでかした末の自業自得で、それにあの人を巻き込んでしまったのだから」
轢き潰してきたその全てへの、届きえない後悔なのだから

[メイン] あだぽしゃ : 「…逃げて逃げて逃げた先には、逃げる場所はもうどこにも、見えないわ」

[メイン] 野田コトネ : 「それならさ、探してみようよ
逃げられる場所を。目を背けられる場所を」
その後悔は、私と同じくらいに見える少女には余りにも重たそうで。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 「…探して、良いのかしら?」

[メイン] 野田コトネ : …だからこそ、この子のことを想いたくもなる。
……逃げられないのは苦いことだろうから。

[メイン] あだぽしゃ : 「其処を、私の居場所なんかにしてしまって、いいの?」

[メイン] 野田コトネ : 「うん、いいと思うよ」

[メイン] あだぽしゃ : …顔を、俯けてしまう

[メイン] あだぽしゃ : ああ、思い出してしまうから

[メイン] 野田コトネ : 「大丈夫、それも嫌になったらまた逃げればいいの!ポジティブ的逃走!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] 野田コトネ : にこにこ、楽しそうな顔で。

[メイン] あだぽしゃ : 「そう、かしら」
だって、そんな優しい言葉は

[メイン] 野田コトネ : …楽しいのは、私が目を背けてられるから。

[メイン] あだぽしゃ : 「…逃げ続けて、生きていくのは、悪くないの?」
あの人の言葉を、ずっと

[メイン] あだぽしゃ : 思い出して、鐘のように響く

[メイン] 野田コトネ : 「ぜんぜんッ悪くないね!」

[メイン] あだぽしゃ : "お互い幸せになりましょうね"と
「幸せに、なって、なり続けるために…」
彼は、私に言ってくれたようで

[メイン] 野田コトネ : 大声で、否定する。
響くその音を掻き消すくらいに。

[メイン] あだぽしゃ : 「……」
汗が伝った

[メイン] あだぽしゃ : 寒さが、晴れている

[メイン] あだぽしゃ : 引き戻った私は、おかしな美術館の中、目の前には優しい誰か

[メイン] あだぽしゃ : 誰か?違う、コトネが

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう、か」
死人に口なし、とも言うように

[メイン] あだぽしゃ : 「…そういう、ものなのね…」
安堵の息を吐く、優しさの中に居る私に

[メイン] あだぽしゃ : 誰も、引き戻す声は掛けない

[メイン] あだぽしゃ : …雪原には誰も居ない

[メイン] 野田コトネ : 「うん、大丈夫だよ…
流石に分厚すぎたんじゃない?その服」
汗を見て、ハンカチで拭って。

[メイン] あだぽしゃ : 「………一つ、我儘を言ってもいい?」
ん、と汗を拭われつつ

[メイン] 野田コトネ : 「うん、もっちろん!」

[メイン] あだぽしゃ : 「私は、"其処"をよくまだ知らないの」
ずっと寒い場所に居たから、何処にあるのやら…などと自虐して

[メイン] あだぽしゃ : 「引いてくれる?逃げ場に迷ったら」
すっと、手を前に

[メイン] あだぽしゃ : 何かを掴み引き摺っていた"手"を

[メイン] あだぽしゃ : 前にして、頼んで

[メイン] 野田コトネ : 「いいよ、連れていってあげる」

[メイン] 野田コトネ : その手を躊躇なく握る。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」
繋がれた手を見て

[メイン] 野田コトネ : 逃げる人が1人2人増えたところで変わらないしね~

[メイン] あだぽしゃ : 「暖かいのね」
くすりと笑って、そう呟く

[メイン] 野田コトネ : 「そっちこそ、暖かいよ」

[メイン] 野田コトネ : その笑みに返して、自らの笑みを見せるように。

[メイン] あだぽしゃ : 「…そう」
少し驚いた

[メイン] あだぽしゃ : 「私もか」 あだぽしゃ
如何やらまだ私は"Adipocere"では無かったのね

[メイン] あだぽしゃ : 「……じゃあ、ちゃんと」

[メイン] あだぽしゃ : 「此処からも、逃げないと、かしら?」
初めて習った事を聞き返す様に

[メイン] 野田コトネ : 「そそ、そのためにみんなで頑張らなくっちゃね!」

[メイン] 野田コトネ : 握ったその手を、引いて。前に進む。

[メイン] あだぽしゃ : 「…わかったわ、ええ」
こくり、頷き

[メイン] あだぽしゃ : 引かれていく

[メイン] あだぽしゃ : 白い中、足取りは軽い

[メイン] あだぽしゃ : もう足を取る雪も、引き摺るソレも無くて

[メイン] あだぽしゃ : でも、暖かな灯だけは、この手に握られていた

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] 中島敦 : 小さく息を吸って、吐いて。
……やるべき事は何だ?
そうだ。ここからの脱出だ。

[メイン] 中島敦 : ならば、今はそれ以外考える必要はない。
それだけ。
それだけだ。

[メイン] 中島敦 : 「……む」

[メイン] 中島敦 : 揺れる金髪。

[メイン] 野田コトネ : 「むむ?」

[メイン] 野田コトネ : その声に反応して、振り向く

[メイン] 中島敦 : 「こんな所に居たか……」

[メイン] 中島敦 : 呆れたような声で呟く。

[メイン] 野田コトネ : はらりと金髪が揺れて、顔を向ける
「あ、やっほやっほー!」

[メイン] 野田コトネ : 「…ありゃ、もしかして探してもらってた?」

[メイン] 中島敦 : 「まあな。そろそろ先へ進むぞ」

[メイン] 野田コトネ : 「へーい、……所でさ」

[メイン] 野田コトネ : 「名前聞き忘れてた!
私は野田コトネ!」

[メイン] 中島敦 : 「……何だ」
どいつもこいつも、手より口を動かしたいのか?

[メイン] 中島敦 : 「……」

[メイン] 中島敦 : 「“中島敦”」

[メイン] 野田コトネ : 「敦さんね、了解!
あなたはなんだか絵を見てた時の人と雰囲気違うみたいだけど…何かあったの?」

[メイン] 野田コトネ : …気になる、恐怖を紛らわせるために。

[メイン] 中島敦 : ぴくり、と眉が動く。

[メイン] 野田コトネ : 今の状況に向き合うよりも、ただ会話に意識を向けて逃げておく。

[メイン] 中島敦 : 「……やめておけ。首を突っ込んでも碌な事にならんぞ」

[メイン] 野田コトネ : 「えー、そうはいっても気になるしなぁ~」

[メイン] 野田コトネ : ずけずけと踏み込もうとする。

[メイン] 中島敦 : 「………」
此奴らは猫なのか?

[メイン] 野田コトネ : 「だってほら、わからないのって”楽しくない”しね」

[メイン] 中島敦 : それは、確かにそう。
正論に少し閉口し。

[メイン] 野田コトネ : 怖いことから逃げるには、それを知るのも一つの手段で。
……”楽しい”ことも、逃げる手段だから。

[メイン] 中島敦 : しかし、真実を言うのも憚られる。
それは、恥だ。

[メイン] 中島敦 : 「…………この手の事があると、自然にこうなる。癖のようなものだ」

[メイン] 中島敦 : 嘘はついていない。
言いたくない事を言っていないだけだ。

[メイン] 野田コトネ : 「ははぁ…威勢がよくなるんだね
顔つきもなんだか凛々しくなってるし」
からかう様にじろじろと見つめて

[メイン] 中島敦 : 「む……ぅ」

[メイン] 中島敦 : 「………それより、お前はどうなんだ」

[メイン] 野田コトネ : 「それになんだか頼れそうだしね~、へにょっとしてなくて」

[メイン] 中島敦 : 話題を逸らすように。
目を敢えて向ける。

[メイン] 野田コトネ : 「…うん?」
にやにやとした顔が変わって、真面目に向き直り

[メイン] 中島敦 : 「このような所でも能天気で……先ほどだってそうじゃあないか。よくもまあ、あの芸術家気取りに対してズケズケと物を言えたものだ」

[メイン] 野田コトネ : 「ああ…」

[メイン] 野田コトネ : 「……んーとね、あの人って普通じゃないじゃん」

[メイン] 中島敦 : 相槌代わりに頷く。

[メイン] 野田コトネ : 「……急に襲い掛かってきて、それであれが絵!って感じに言ってきたしさ」

[メイン] 野田コトネ : そして、それがとても…怖かった。
今まで刃物を突き付けられた事なんてなかったから。

[メイン] 中島敦 : 「……普通であれば、刺激しないように振舞うものだが」

[メイン] 野田コトネ : 「…だから、その人のことを知れれば、怖くなくなるのかなって興味がわいてね」

[メイン] 中島敦 : 眉根が吊り上がる。

[メイン] 野田コトネ : 「……だって、そんなことしてたら…ずっと怖いままなんだもん」

[メイン] 中島敦 : 「お前、お前……」

[メイン] 中島敦 : 「命知らずか……?」

[メイン] 中島敦 : 恐怖心を和らげようとして、却って危険を呼び込むとは。

[メイン] 中島敦 : 猫でもそのような事はしない。多分。

[メイン] 野田コトネ : 「よく無鉄砲って言われるかも~」

[メイン] 中島敦 : 「だろうな…」

[メイン] 野田コトネ : 実際、人にずけずけと聞き込むのが私の悪癖なんだろうけど。
       希望を見つける
……それは全部、 楽しくなる  ためにやってる。

[メイン] 野田コトネ : わからないこと、恐怖に立ち向かうのは私は出来ない。
だから話したりして、別の方法でどうにか怖くないように。

[メイン] 中島敦 : 「………なら」

[メイン] 野田コトネ : 「でもさ、悪いことではないんじゃない?
自分の事言えないって、窮屈じゃん」

[メイン] 野田コトネ : 「…うん」

[メイン] 中島敦 : 勝手に動いて、死なれるなど。
勝手に口を滑らせて死なれるなど。
“俺の手の届かない範囲で死なれるなど”。

[メイン] 中島敦 : 実に、腹立たしい。

[メイン] 中島敦 : 「口を開くのは勝手だが」
人の最低限の自由である。
「なら、開く場合は」

[メイン] 中島敦 : 「俺の傍でやれ」

[メイン] 中島敦 : 手綱を離せば勝手に噛みつくのであれば、俺が手綱を持てばいい。

[メイン] 野田コトネ : 「…えっ、それって……」
告白?とからかおうとするが、真剣さに押されて。

[メイン] 中島敦 : …………クソ。
奴め。貴様は他人への情など、抱けるほど寛容ではないだろう……!
しかし、見捨てれば、万が一があれば……。

[メイン] 野田コトネ : あー、ええっと…つまり、その……ええ…???

[メイン] 中島敦 : 「勘違いするな」

[メイン] 野田コトネ : 言われないような言葉に混乱中。

[メイン] 中島敦 : 「危なっかしい子犬には飼い主が必要だろうが」

[メイン] 野田コトネ : 「あ、う、うん!」

[メイン] 野田コトネ : 「…それ、私が犬ってことじゃん」
ぶーぶーと唇を尖らせて

[メイン] 野田コトネ : 「…でも、ううん、こういう時私が誰かを押すって感じだったからさ」
言葉がまとまらない、ええっと…

[メイン] 野田コトネ : 「そのー……ありがと」

[メイン] 野田コトネ : 笑顔が崩れて、どこか照れたような顔をして。
直視できないから目を逸らす。

[メイン] 中島敦 : ……………?

[メイン] 中島敦 : 「礼を言われるような事か……?」

[メイン] 中島敦 : きょとん、とした表情。

[メイン] 野田コトネ : 「そ、そういうもんだよ~!礼を言われたら素直に受け取っておくの!」

[メイン] 野田コトネ : …逃げる先も、アテが無いなら永遠に続く。

[メイン] 中島敦 : 「………そうか?……そうか」

[メイン] 野田コトネ : でも、今は………希望が、あった。
               逃げられる
…それに頼ってみたい、その方が”楽しそう”だから。

[メイン] 野田コトネ : 「あーなんだろ…ううん、私の癖は直らない気もするし、またずけずけというと思うけど…
その時また、よろしくね!」

[メイン] 中島敦 : 女というものは、さっぱりとわからん。
こういうもので喜ぶものなのか……?

[メイン] 中島敦 : 「……フン、構わん」

[メイン] 中島敦 : しかし、やるべき事は変わらん。

[メイン] 中島敦 : 「お前がいくら獅子を起こそうが、それを俺が食い殺せばいい。それだけだからな」

[メイン] 野田コトネ : 「わお、凄い自信じゃん…
それなら…頼りにするよ……うん」
勢いが消えて、笑顔も剥がれて戸惑いつつ。

[メイン] 中島敦 : 「ほら、行くぞ」
手を差し出して。

[メイン] 野田コトネ : 手で金髪を弄りながらそんな事を言っている。

[メイン] 野田コトネ : 「あ、うん…!」

[メイン] 野田コトネ : 手を、今度は掴む。
…誰かと一緒に逃げるんじゃなくて、誰かに逃げる。

[メイン] 野田コトネ : …どうしよ…私、嬉しいような恥ずかしいような気持ちでいっぱいだ…

[メイン] 中島敦 : その手を握り。
……まったく、仕方のない。
獣が獣を飼うなど、とんだサアカスの見世物じゃあないか。

[メイン] 中島敦 : ……しかし。

[メイン] 中島敦 : “悪くない”。

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] 中島敦 :  

[メイン] system : [ 中島敦 ] ツナガリの数 : 3 → 4

[ツナガリ] system : [ 中島敦 ] ツナガリの数 : 4 → 5

[メイン] system : [ 野田コトネ ] ツナガリ : 2 → 3

[メイン] system : [ 野田コトネ ] ツナガリ : 3 → 4

[メイン] GM :  

[メイン] GM : □三章オモテ 侵蝕:2

 貴方はいまだ美術館の中にいる。出口は見付からない。あちこちに血溜まりや血しぶきが飛び散っており、人の姿は一つもない。
 血しぶきはどれも、さまざまな風景を壁に描いている。本来かけられているさまざまな絵画に混じって、時には塗り潰すように、美しい風景ばかりが赤黒い液体で描かれている。
 そこで貴方は、血液の鉄臭さとは別の匂いを感じ取った。
 吐き気を催すような……死臭だ。


全発生
→匂いの発生源を探す 【侵蝕2点】三章ウラ①へ
→匂いの発生源を探さない 三章ウラ②へ

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あだぽしゃ、コトネ、敦、カミナは、血塗られた美術館内を歩き続ける。

[メイン] GM : それでも、人の姿は、どこにもない。
出口も、無い。

[メイン] GM : あるのは、血で描かれた"風景"のみ。

[メイン] GM : 鉄臭い美術館の中………あなた達は、異なる臭いを、感じ取る。

[メイン] あだぽしゃ : 「…匂い」
嗅ぎ慣れた臭い、死の臭い

[メイン] 中島敦 : 「………血だけ、じゃない?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ」

[メイン] 野田コトネ : 「え、……うわ、何この匂い」

[メイン] カミナ : 「……まさか」

[メイン] あだぽしゃ : 「死臭、ね」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」
腐る様な、淀む様な

[メイン] 野田コトネ : すんすんと鼻をならす、そして匂いを確かめる…
……気味が悪くなってくる。

[メイン] カミナ : 「行くぞテメェら!高井の遺体があるかもしれねぇ!!」

[メイン] 中島敦 : 「……直接的に言うな馬鹿!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…待って」

[メイン] 野田コトネ :  恐ろしい
…面白くない。

[メイン] あだぽしゃ : 「そう易々と、それに見えるとは思わない」

[メイン] カミナ : 「おう!どうした!」

[メイン] 野田コトネ : 「あ、うん!」

[メイン] あだぽしゃ : 「だから、落ち着いて」

[メイン] カミナ : 「……おし、わかった」

[メイン] あだぽしゃ : 「加賀さんだって、多分それがある事を知ってるでしょう」

[メイン] カミナ : 「お前に一旦任せる、前は走らせてやるから。行くときゃ言え」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 「ええ」

[メイン] 野田コトネ : 「…ん、まあね……知らないって言ってたけど、それがどうかは分からないもの
……この先に何があるかもね」

[メイン] あだぽしゃ : 「やって見せる、見ててね?」
少しだけ笑い、真剣な顔を

[メイン] 中島敦 : 「…………」
何かあったのか、此奴ら。
まあ、いい。支障がないのなら、構わない。

[メイン] カミナ : 「おう!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…じゃあ、探しましょう」

[メイン] あだぽしゃ : 「それで、終わりましょう」
後悔しない様に

[メイン] 野田コトネ : 「はいはーい、私も調べたい!そっちの方が楽しそう!」

[メイン] あだぽしゃ : 懺悔も愛も、そこで清算できるように

[メイン] 中島敦 : 「……チッ。俺の見ている範囲で、だ」

[メイン] 野田コトネ : 「へいへい、じゃあ付いてきてよ~」

[メイン] あだぽしゃ : 「…じゃあ四人でね」

[メイン] あだぽしゃ : 「四人、欠けないように」

[メイン] 中島敦 : 頷いて。

[メイン] カミナ : 「わーってるよ!」

[メイン] あだぽしゃ : 「よかったわ、ええ」
こくりと頷きつつ

[メイン] 野田コトネ : 「了解、リーダー!」
ぽしゃにぴしっと敬礼のポーズ

[メイン] あだぽしゃ : そして前を向いて

[メイン] あだぽしゃ : 鼻を鳴らす

[メイン] カミナ : 「おう!お前も団員になんのか?」

[メイン] あだぽしゃ : 死蠟では無い、腐れる香り

[メイン] 野田コトネ : 「団員!?いや冗談だよ!?」

[メイン] 中島敦 : 「……勧誘は後にしろ」

[メイン] 野田コトネ : 言いながら、歩く。
……好奇心に殺される前に、守ってくれるみたいだしね?

[メイン] あだぽしゃ : 「ま、色々はここを出た後に、ね」

[メイン] あだぽしゃ : 案内するように、前に

[メイン] あだぽしゃ : でも今回は何も引いてない

[メイン] あだぽしゃ : 皆、歩いて着いてきてくれるのだから

[雑談] system : [ 野田コトネ ] 侵蝕 : 10 → 12

[雑談] system : [ あだぽしゃ ] 侵蝕 : 8 → 10

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : ■三章ウラ① 侵蝕:-
 スタッフルームと書かれた扉の奥から、この悪臭は漂ってきているようだ。
 貴方はその扉に手を触れ、開く……。

 そこには、腐敗した死体があった。

 何度も切りつけられた痕がある。何度も何度も鉈のようなもので切りつけられた痕だ。そして傷口を縫い付けられ、清潔な衣服を着せられ、同じく清潔な布団に寝かせられていた。

 ……ふと、貴方は、足元に落ちている白い紙を発見した。封筒に入った手紙だ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 中島敦 : 「…………」

[メイン] あだぽしゃ : それを見た

[メイン] 中島敦 : 鼻から吸ったそれに、強い嫌悪を覚え、口で空気を入れる。

[メイン] カミナ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : それは、ズタボロで、丁寧で、綺麗で、悍ましくて

[メイン] 野田コトネ : 「………っ、う…ぇ…」

[メイン] あだぽしゃ : …死んでいた、当たり前だけど、死んでいた

[メイン] カミナ : 「悪い、コトネ」

[メイン] 野田コトネ : 直視したくない…その熱烈な程の『死』に。

[メイン] あだぽしゃ : 「…ああ」

[メイン] 野田コトネ : 「……う、うん?」

[メイン] カミナ : 「無茶かもしれねえが……できれば、怖がらないでやってくれ」

[メイン] 中島敦 : 「……不快であれば、下がっていろ」

[メイン] 野田コトネ : …縋るように見つめる。

[メイン] あだぽしゃ : ふと、降ろした視線に

[メイン] あだぽしゃ : 手紙を見つけて拾いつつ

[メイン] 野田コトネ : 「……あ、うん……下がっておく…」

[メイン] 野田コトネ : 「……ごめんね」

[メイン] カミナ : マントを脱ぐと、布団の上に更に赤い布を足す

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ、大丈夫」

[メイン] カミナ : 「……悪いな、ちょっと我慢してくれ」

[メイン] 中島敦 : 「構わん……慣れるものではない」

[メイン] あだぽしゃ : 「見ないうちに、終わらせるから…」
笑顔で隠すようにしつつ

[メイン] 野田コトネ : ここにいるみんなと、高井さんに謝りながら。

[メイン] 野田コトネ : 場を一歩退いて、敦の後ろに隠れておく。

[メイン] あだぽしゃ : 「…それじゃあ」
一歩ずつ進む

[メイン] あだぽしゃ : 倒れている高井さんの傍で、手紙を開く

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : ■幕間⑤

『いつか必ずやってくる未来に思いを馳せることに感動はある。美しさとは、ひたむきに前を向く人間に宿る。

 貴方が後ろを向き続けていることを、私は悲しく思う。
 貴方にとっての思い出は、美しいかもしれないけれど、そこに本物の私は居ないでしょう?

 いつか、貴方がこちらに振り返ってくれる日を願っている。 高井志穂』

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] あだぽしゃ : 「…ああ」

[メイン] あだぽしゃ : 「優しかったのね」
初めて知った、その人柄の一端を

[メイン] あだぽしゃ : 眠る貴方に重ねて

[メイン] あだぽしゃ : 「…それをしてあげられるかはわからない、でも」

[メイン] あだぽしゃ : 「寂しいでしょうし、悲しいのでしょう」
思い浮かべる、勝手でもいい、理解するために

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方の大事な人だったのでしょう、加賀さんは」
「だから、こうやって言葉を遺して」

[メイン] カミナ : 「……どんな奴かと思って、ずっと追ってたが」

[メイン] 野田コトネ : 「……ん」
背中からその手紙を覗き込んで。

[メイン] カミナ : 「いい女じゃねえか、死ぬ前に会いたかったぜ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ、だから私が出来るなら」
理解したかった、少しだけ心が軋んで

[メイン] あだぽしゃ : 「私がこれを、伝えて見せるから」
引かれないように、私は私の道を見出す

[メイン] あだぽしゃ : 「…寒くないように、もう冷える季節だしね」
自分もまた、コートを一枚脱いで

[メイン] あだぽしゃ : 静かに被せる

[メイン] 中島敦 : 「………」

[メイン] 野田コトネ : 「…うん、その方がいいよ」
伝えるという言葉にうなずきながら、コートをかぶせる彼女を見て。

[メイン] カミナ : 「……つーわけだ、オレの妹分がしっかりとバカ弟子には伝えてくれる」

[メイン] あだぽしゃ : 頷き、目を細める

[メイン] 中島敦 : 死んだ者の意思は、最早誰にもわからない。
死人の言は、生者へと委ねられるものだ。

[メイン] あだぽしゃ : 彼女の絵を思い返す、彼女と共に

[メイン] 中島敦 : ……此奴らがそう感じたのであれば。

[メイン] 中島敦 : それは、きっと、そうなのだろう。

[メイン] 野田コトネ : 「ぽしゃちゃんのしたい事をやっちゃえ、今の方がいい顔してるしね~」
にこにこ、とまた笑って。

[メイン] カミナ : 再びマントを見に羽織り……

[メイン] カミナ : 「おう!お前も見る目があるじゃねえか!」

[メイン] 野田コトネ : 「あはは…ありがと!…さっきはその、悪かったね」
笑顔のまま、それに返す…最後は俯いて

[メイン] カミナ : 「……おい、どうしたんだよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…大丈夫?」

[メイン] 中島敦 : 「……」
揺れる金髪に目線を向けて。

[メイン] 野田コトネ : 「あーいや、…そのね……」
嫌なことから逃げようとしていた、けど…
ぽしゃちゃんが前を向いたなら、私も向かないとなのかもって。

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] あだぽしゃ : 「大丈夫、これは…」

[メイン] 野田コトネ : 「……高木さんのことを、”死体”って思っちゃったこと」

[メイン] カミナ : 「なんかめんどくせえ事で悩んでんなぁ……」

[メイン] カミナ : 「馬鹿野郎、死体は死体だ、オレはカミナで、お前はコトネだろうが」

[メイン] カミナ : 「名乗りをあげなきゃ、そいつだって分からねえのも当然だよ」

[メイン] カミナ : 「オレもお前の名前知る前は、パツキンとか呼んでたしな!」

[メイン] 野田コトネ : 「ん、そういうもんかな……ってパツキン!?……死語じゃない!?
初めて言われたよ」

[メイン] 中島敦 : 「………フン」

[メイン] 中島敦 : 「コトネ」

[メイン] カミナ : 「……!」

[メイン] 中島敦 : 少女の目を、見据えて

[メイン] 野田コトネ : 驚くような顔をして

[メイン] 野田コトネ : 「……ん」

[メイン] あだぽしゃ : 「あら」

[メイン] 野田コトネ : 目を向ける、…ちょっと逸らして。

[メイン] 中島敦 : 「その感情は普遍のものだ。それを責めるほど、此奴らも馬鹿ではなかろうよ」

[メイン] 中島敦 : 「無理に受け止めようとして足を止められる方が困る。だから」

[メイン] 中島敦 : 「考えたくないのであれば、俺を見ていろ」

[メイン] 野田コトネ : 「っ、ぁ……あ、うん……」

[メイン] カミナ : 「ヒュー!イカす事言えるようになったじゃねえか!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あら」

[メイン] 野田コトネ : ま、また……そんな事言って…
どう捉えたらいいのかわかんないし!

[メイン] 中島敦 : 「黙れ馬鹿。馬鹿が移る」
コトネから目線を逸らさず、カミナへと返す

[メイン] 野田コトネ : 「……わかったよ、うん」

[メイン] あだぽしゃ : 「…お熱いのね、汗かいちゃう」
ぱたぱたと

[メイン] カミナ : 「はっ、やっとこさ女を口説けるようになったバカに言われたかねえよ!!」

[メイン] 野田コトネ : 「…敦だけ見てるから……」

[メイン] カミナ : 「おい、あだぽしゃ。お前もなんとか言ってやれ」

[メイン] 野田コトネ : ぼそりと呟いて。

[メイン] 中島敦 : 「何の話だ……俺はただ、こいつが歩けんようであれば別の事を考えるようにと……?」

[メイン] あだぽしゃ : 「見てて照れ臭くなるわ」

[メイン] 中島敦 : 「何か言ったか?」

[メイン] カミナ : 「……やりやがった、このバカ」

[メイン] 野田コトネ : 体を少し、敦の方に寄せて。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」
私もあの人と付き合い始めはこんなんだったかも、と思いつつ

[メイン] 野田コトネ : 「んー、あー、……今日は暑いねって言ったの!」

[メイン] あだぽしゃ : 「まー」

[メイン] カミナ : 「おい、コトネ。もっかい大声で言ってやれ」

[メイン] 中島敦 : 「……そうか」

[メイン] 野田コトネ : 誤魔化すようにあだぽしゃと一緒にぱたぱたと手で仰ぐ。

[メイン] カミナ : 「ばっきゃろー!!ここで押さねえでどうすんだ!ヘタレ!生娘!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「はいおしまい」

[メイン] 野田コトネ : 「言わないから!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「まずは外に出るんでしょ」

[メイン] 中島敦 : 「……ああ。ともあれ、脱出が先決だ」

[メイン] カミナ : 「ったく……」

[メイン] あだぽしゃ : 「兎にも角にも、ね」

[メイン] 野田コトネ : 「はいはい、そうだよ脱出しよ脱出!」

[メイン] 野田コトネ : 話が逸れてくれて助かったぁ~…

[メイン] あだぽしゃ : 「それじゃあ…行きましょうか」

[メイン] カミナ : 「おっし!グレン団、再出撃だ!!」

[メイン] 野田コトネ : 「出撃出撃~!」

[メイン] 野田コトネ : そりゃまあ……希望がないから逃げてたんだからさ……
……そんなに照らされるとドキマギしちゃうでしょうに!

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : □終章

 声がする。
「あー……他に、人見付かんなかったっすよ。もっと情報がいるんすけどねー」
 あの男が鉈を揺らしながら、貴方の前に現れた。
「美しいものだけを見たいんすよ俺は……そうしたら……そうしたらやっと、師匠に顔向けできるんで。だから俺のために死んでください。何度でも。何度でも……俺が理解できるまで」

「俺を、思い出に浸らせてください」

→最後の戦いへ

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : "5人目"の気配。

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 来たのね

[メイン] あだぽしゃ : 振り返る、そちらへ

[メイン] 加賀映人 : 「……だめだ……駄目だ駄目だ!!!俺には、やっぱわかんないっすよ!!!!」

[メイン] 加賀映人 : 「俺は!!!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ」

[メイン] 加賀映人 : 「美しいものしか見たくない!!!!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…美しいもの、だけか」

[メイン] 加賀映人 : 「そうして……俺自身も、美しいものを生み出すようになれて……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…いや」

[メイン] 加賀映人 : 「そうすれば、師匠に顔向けもできるようになって……!!」

[メイン] 加賀映人 : 「………!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「加賀さん」

[メイン] 加賀映人 : 「…な、なんだよ……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…話をしましょう?」

[メイン] あだぽしゃ : 「いろいろ気になってたの」

[メイン] あだぽしゃ : 「芸術家と話した事は無いの、だからね」

[メイン] 加賀映人 : 今にも泣き出しそうな表情で、鉈の先をあだぽしゃへ向ける。

[メイン] あだぽしゃ : 服装を整えて、前に立つ

[メイン] あだぽしゃ : 「まず、一つ聞かせて」

[メイン] 加賀映人 : 「アンタに俺のことが分かるわけないし……ましてや、俺はまだ……芸術家に、なれていない!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…私の郷愁、本当に…綺麗に見えた?」

[メイン] 加賀映人 : 「………」

[メイン] あだぽしゃ : 「あの何もかも、懺悔し続けた全てが」

[メイン] あだぽしゃ : 「心にこびり付く色、臭い、苦痛が…」

[メイン] あだぽしゃ : 「綺麗で、片付けられてしまうの?」

[メイン] 加賀映人 : 「………それ、は……俺、には………」

[メイン] 加賀映人 : 「………………"分からない"……」

[メイン] あだぽしゃ : 「…」

[メイン] あだぽしゃ : 「話を、しましょう」

[メイン] 加賀映人 : 「……五月蠅い!!!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「知ってほしいの、だって」

[メイン] 加賀映人 : 「だから俺は、分からないんだ!!だから、だからアンタらを斬り刻む!!!わかるまでアンタらの思い出を見る!!!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「私は貴方自身の絵を見れてないから」

[メイン] あだぽしゃ : 「…いや」

[メイン] 加賀映人 : 「………俺の、絵……」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方の絵じゃないと、ダメじゃない」

[メイン] あだぽしゃ : 「一緒に見ましょう、一人で分からないなら二人でも、三人でもいい」

[メイン] あだぽしゃ : 「…貴方は自分では美術家と認められないとしても」

[メイン] あだぽしゃ : 「美術家にはなりたいのよね?」

[メイン] 加賀映人 : 静かに、頷く。

[メイン] あだぽしゃ : 「…これは」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方にとって、筆になり得るの?」

[メイン] あだぽしゃ : ぐっと、鉈を握る

[メイン] あだぽしゃ : 血が滲むが、すぐ塞がるからか

[メイン] あだぽしゃ : ずっと、赤い血が滴る

[メイン] 加賀映人 : 「………わから、ない」

[メイン] あだぽしゃ : 「ねぇ」

[メイン] あだぽしゃ : 「高井さんは、何を使うように教えてくれたの?」

[メイン] 加賀映人 : 「何を、使う……?俺の、師匠が……?」

[メイン] あだぽしゃ : 「弟子、だったんでしょ?一杯教えてもらったんでしょ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…何で絵を描いてたの、一緒に」

[メイン] 加賀映人 : 「……そんなの……"色々"だ……筆だったり……鉛筆だったり……」

[メイン] あだぽしゃ : 「じゃあ、それを持って描いてみてよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…見たいもの、気になるもの」

[メイン] 加賀映人 : 「……………」

[メイン] 加賀映人 : 「俺……もう、描けないんだよ……」

[メイン] あだぽしゃ : 「…どうして?」

[メイン] 加賀映人 : 「何も、思い浮かばないんだよ……」

[メイン] あだぽしゃ : 「……思い浮かばない、それは」

[メイン] あだぽしゃ : 「自分の、描きたいと思うものが?」

[メイン] 加賀映人 : 静かに、頷く。

[メイン] 加賀映人 : 「……『美しい』ものを、描きたい」

[メイン] あだぽしゃ : 「……それなら、一つだけ、心当たりがあるの」

[メイン] 加賀映人 : 「でも……俺の描くものは……『美しくない』……」

[メイン] 加賀映人 : 「……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方にとって、そうかどうかは計りかねるのだけど、でもね」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方が美しいと、言ってた人が、ずっといる…じゃない」
目を細めて、思い返す

[メイン] あだぽしゃ : 「もう、貴方だけが覚えてる彼女の…高井さんを…」

[メイン] あだぽしゃ : 「描いて、みない?」

[メイン] 加賀映人 : 加賀は

[メイン] 加賀映人 : 己の腕をまた、傷つける。

[メイン] 加賀映人 : そうして、血飛沫がまた、舞う。

[メイン] 加賀映人 : 本来、そこに浮かび上がるはずであろう、師匠との思い出。

[メイン] 加賀映人 : それが、無い。

[メイン] 加賀映人 : ただの血の池。

[メイン] 加賀映人 : 「どう描けばいいのか分からない……!何も分からない……!!空っぽなんだよ!!!師匠のこと……何にも分からなかったから………だから俺は知りたいんだ!!」

[メイン] 加賀映人 : 「"死"がどうして『美しい』と思ったのか、俺には分からなかった、でも、師匠の描いた作品は確かに……『美しかった』……!!」

[メイン] 加賀映人 : 「だから……それを知るために俺は……アンタらの頭かち割ってッッ……!!何度も、何度でも殺してッッ!!『過去』を知って、『美しい』とは何かを……知る必要があるんだッッ!!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…ずっと、そういう見方をしなくても良いじゃない」

[メイン] あだぽしゃ : 「過去だけにしかないの?ずっといろんな絵を残してきて、貴方はそれを見てたんじゃないの?」

[メイン] あだぽしゃ : 「高井さんは、何のためにそれを絵に残してたのか、それが未来に向けて残せるからじゃないの?」

[メイン] あだぽしゃ : 「だって、前を向いて描き続けてたんでしょ、ねぇ」

[メイン] あだぽしゃ : 「思いを馳せたのは」

[メイン] あだぽしゃ : 「未来だから、感動があるとも」
ポッケに、手を入れて

[メイン] 加賀映人 : 「……………!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…一緒に、知りましょうか」

[メイン] あだぽしゃ : 「高井さんが、何を最後に残して伝えたかったのか」
遺書を、取り出す

[メイン] 加賀映人 : 「そ、それ……何で、アンタが、持って……」

[メイン] あだぽしゃ : 「…託された、と言ったらどう思うかしら」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方が見るべきものなのよ」

[メイン] 加賀映人 : 「師匠が……アンタに……?」

[メイン] 加賀映人 : 「お、俺……俺は……読みたく、ない……!」
怯えた表情になる。

[メイン] あだぽしゃ : 「そうじゃないと、いけないから…そうある為に」

[メイン] 加賀映人 : 「俺……弟子として、不出来だから……!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…不出来じゃない」

[メイン] 加賀映人 : 「なんて書いてあるのか……!怖くて……!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方は認められているって、どうして信じてあげないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「その人は、貴女を傍に置いて」

[メイン] あだぽしゃ : 「…一枚の、本当なら貴方の為だけにある絵を残した」

[メイン] あだぽしゃ : 「どうして、そこまでしてくれたその人を、信じてあげられないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「…その人は、貴方の幸せを願ってるのよ!」
一歩進んで、声を張り上げる

[メイン] 加賀映人 : 「っ………!!」

[メイン] あだぽしゃ : 「遺してしまう貴方が、それでも未来を見れるように!言葉を尽くして、絵を残して!」

[メイン] あだぽしゃ : 「これは…これは」

[メイン] あだぽしゃ : 「その人にとって出来る最上じゃないの!」

[メイン] あだぽしゃ : 「芸術家が、貴方の憧れた芸術家が」

[メイン] 加賀映人 : 「あ……あぁぁ……あぁぁぁぁ………」

[メイン] あだぽしゃ : 「絵という人生に寄る総てを貴方に一時捧げたのよ!」

[メイン] あだぽしゃ : 「…いい、芸術は永遠にだって残るかもしれないの」

[メイン] あだぽしゃ : 「100年だって、1000年だって」

[メイン] あだぽしゃ : 「描いた人間ですら置き去りにして未来にその意味を載せて、誰かに表現する為に生きているのよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「あの一枚の絵も、このメッセージも」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方のここから先の生涯に寄り添ってくれるはずなのに!」

[メイン] あだぽしゃ : 「どうして!!」

[メイン] 加賀映人 : からん。

[メイン] あだぽしゃ : 「高井さんの傍に居た貴方が目を逸らすのよ!!!」

[メイン] 加賀映人 : 鉈を、落とす。

[メイン] あだぽしゃ : 「…見て、これは…願いよ」

[メイン] 加賀映人 : 「………」

[メイン] あだぽしゃ : 遺書を、差し出す

[メイン] あだぽしゃ : 「そうじゃないと、誰も…終われない」

[メイン] あだぽしゃ : 「…前を向いて、加賀さん」

[メイン] 加賀映人 : 「………………」

[メイン] あだぽしゃ : 「私は、貴方の願いが、貴方の想いが」

[メイン] あだぽしゃ : 「美しいものだと、思ってる」

[メイン] あだぽしゃ : 「…美しい在り方なのよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「苦難して、最高の表現を求めて」

[メイン] あだぽしゃ : 「足搔いて、藻掻いて、生きて生きて生きて…」

[メイン] あだぽしゃ : 「泣いて、笑って、絵を描くために筆を取って」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方は」

[メイン] あだぽしゃ : 「…私が初めて話をした芸術家だった」

[メイン] あだぽしゃ : 「絵を見たいと思った、作品が知りたくなった」

[メイン] 加賀映人 : 「俺が……芸術家………」

[メイン] あだぽしゃ : 「理解したいと、思ったの」

[メイン] 加賀映人 : 「……………」

[メイン] あだぽしゃ : 「胸を張って頂戴」

[メイン] あだぽしゃ : 「…良い師匠を持った、良い芸術家、そう認めていいんじゃない?」

[メイン] あだぽしゃ : 「だって」

[メイン] あだぽしゃ : 「私の知る限り、ずっと認めてもらってたじゃない」

[メイン] 加賀映人 : 「あぁぁぁ…………」

[メイン] あだぽしゃ : 「…そうじゃないと、寂しいわ」

[メイン] 加賀映人 : 「うぁぁぁ………師匠……俺、俺は……俺は……」

[メイン] 加賀映人 : 目を、ぎゅっと閉じ。

[メイン] 加賀映人 : そして、開く。

[メイン] 加賀映人 : 視線は、あだぽしゃの持つ、手紙。

[メイン] 加賀映人 : 一歩。

[メイン] あだぽしゃ : 「…ええ」

[メイン] 加賀映人 : 前に出て。

[メイン] あだぽしゃ : 差し出した、もう一度

[メイン] 加賀映人 : ゆっくり、ゆっくりと、あだぽしゃへ歩み寄り。

[メイン] 加賀映人 : その手紙を────────────────────

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] あだぽしゃ : 2b10>=(10-10-2) 破滅判定 (2B10>=-2) > 10,8 > 成功数2

[メイン] 中島敦 : 2b10>=(10-10-5) 破滅判定 (2B10>=-5) > 2,2 > 成功数2

[メイン] 野田コトネ : 2b10>=(12-10-4) 破滅判定 (2B10>=-2) > 10,3 > 成功数2

[メイン] カミナ : 発狂してないので破滅しない…良かったな

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] 加賀映人 :  

[メイン] GM : ■エンディング③ ※拾った手紙を渡す。

 貴方が渡した手紙を、『加賀映人』は読み終えた。その表情は驚きや、悲しみ、怒りが複雑に入り交じっている。
 そして、震える声で言った。
「……貴方だって、俺のこと……見てくれなかったくせに。何が未来だよ。俺を置いていったくせに……貴方はもう未来には居ないのに!」
 震える手が手紙を落とす。
「あれが俺の後ろ姿だって……わかるわけないだろ……」

 ――そこで、貴方は我に返った。見ればここは美術館、『郷愁』という見事な絵画の前である。貴方と目的を同じくする人々の姿もあり、わずかな雑踏や話し声が耳に届く。
 ふと見れば、絵画の説明文にあった赤黒い液体すら消えている。あの血生臭い光景はどこにも……。

 背後で悲鳴が上がった。
 見ればそこには人くらいの大きさの、ボロボロの何か……いや。古くなって腐敗した、人間の死体が倒れていた。
 先程まで全く感じられなかったはずの、思わず胃の中がひっくり返りそうになるような死臭が貴方に届く。
 美術館は騒然となった。騒ぎを聞き付けた警備員が現れて顔をしかめる。一瞬で作られた人垣から腕が覗き写真が撮られる。
「前、向くよ」
 貴方の横を通り過ぎる男がそう呟いた。
 振り返ったときには、もうその姿は人混みに消えている。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 加賀映人 : ─────────────その手紙を、受け取り

[メイン] 加賀映人 : じっくりと、読んだ。

[メイン] 加賀映人 : その間、彼の顔には

[メイン] 加賀映人 : 驚き、悲しみ、怒り

[メイン] 加賀映人 : 様々な感情が

[メイン] 加賀映人 : 「………何なんすか………何すか……俺のこと、見てくれなかったと思ってたのに………」

[メイン] 加賀映人 : 「……何が、未来……だよ」

[メイン] 加賀映人 : 「俺を……置いていったくせに」

[メイン] 加賀映人 : 「……もう、貴方は……どこにも……未来にも、いないのに……」

[メイン] 加賀映人 : 「……あの絵が………俺の……後ろ姿……?」

[メイン] 加賀映人 : 「はは……ははは………はははは……そんなの……」

[メイン] 加賀映人 : 「わかるわけ、ないじゃないすか………」

[メイン] 加賀映人 : ボロボロと、大粒の涙を溢す。

[メイン] あだぽしゃ : 「…でも、もう…判ったでしょ?」

[メイン] あだぽしゃ : 「ずっと、認めてもらってて、大事な一人だったのよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…だから、前を向いて欲しかった、ずっと傍に居るんじゃなくて」

[メイン] あだぽしゃ : 「貴方に寄り添う者である為に…」

[メイン] カミナ : 「……おい、馬鹿弟子。オレの子分が言いたいこと全部言ったから。一つしか言う事が残ってねぇが、とりあえず聞け」

[メイン] 加賀映人 : 「………」

[メイン] カミナ : 「お前の師匠はな、お前を置いていったんじゃねぇ」

[メイン] カミナ : 「お前に託したんだ、お前への信頼を、お前への想いを遺書に全部込めてな」

[メイン] 加賀映人 : 「俺に………」

[メイン] 加賀映人 : 「……『過去』じゃなく……『未来』を………」

[メイン] 加賀映人 : 「前を……向く、ように……」

[メイン] あだぽしゃ : 「気分はどうかしら」

[メイン] カミナ : 「……わかったなら良い、一発殴り返してやろうと思ったが、チャラにしてやらぁ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…貴方の第一歩、でしょ」

[メイン] 加賀映人 : 「…………」

[メイン] 加賀映人 : 「……へへ」

[メイン] 加賀映人 : 「………俺の、一歩……」

[メイン] 加賀映人 : 「……なんだか………分かってきた、気がするっす」

[メイン] あだぽしゃ : 「それは…」

[メイン] あだぽしゃ : 微笑んで

[メイン] あだぽしゃ : 「なによりよ、ええ…」

[メイン] 加賀映人 : 加賀もまた、あだぽしゃに微笑む。

[メイン] 加賀映人 : そこには

[メイン] 加賀映人 : "呪縛"から解放された

[メイン] 加賀映人 : 一人の人間が。

[メイン] GM : そうして、あなた達は……

[メイン] GM : 眩しい光に包まれる。

[メイン] GM : それは、とても、暖かく。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 気が付くと、あなた達は、美術館。
それも、『郷愁』というタイトルの絵画の前にいた。

[メイン] 中島敦 : 「…………ぁ」

[メイン] GM : 先程とは違い、他の客の足音や話し声も聞こえてくる。

[メイン] 中島敦 : 「ここ………は?」

[メイン] あだぽしゃ : 「…帰った、みたい」

[メイン] 中島敦 : 記憶が判然としない。
……ひどく、恐ろしい目に遭ったような。

[メイン] あだぽしゃ : 「…お疲れ様ね、ええ」
誰に向けてかはボカしつつ

[メイン] 野田コトネ : 眩しさに目を閉じて…また、開く。

[メイン] 野田コトネ : 「……んん、…帰れたの、かぁ…」

[メイン] あだぽしゃ : 「…逃げ切れた、かしら?」

[メイン] GM : ──────その時。

[メイン] GM : 「きゃあああああああああああ~~~~~!?!?」

[メイン] 中島敦 : 「あ、あれ……私……あっ、も、もしかして……恥ずかしい所を見せてしまっ……!?」

[メイン] GM : 背後から、悲鳴。

[メイン] あだぽしゃ : 「…っ」

[メイン] あだぽしゃ : 「…あら」

[メイン] 中島敦 : 思わず、振り返る。

[メイン] カミナ : 「あぁ?」

[メイン] GM : 振り向くと、そこには。

[メイン] 野田コトネ : 周囲を見渡して、そこにはもう赤色もなく。
恐れるものも……!?

[メイン] GM : そこには人くらいの大きさの、ボロボロの何か……いや。古くなって腐敗した、人間の死体が倒れていた。

[メイン] あだぽしゃ : 嗅ぎ慣れた香り

[メイン] 野田コトネ : 「…ぇ、あ…んん……」

[メイン] あだぽしゃ : …でも、もう怖くはない、終わりの臭い

[メイン] カミナ : 「……」

[メイン] 野田コトネ : ……やっぱり目を背けてしまう、から。

[メイン] 中島敦 : 驚くも、しかし。
何故か“さもありなん”、といった感情を抱く。

[メイン] カミナ : 「やっと、戻ってこれたんだな」

[メイン] あだぽしゃ : 「…おかえり、としか言えないわ」

[メイン] 野田コトネ : 敦の後ろに身を隠すように移動して。

[メイン] GM : 辺りが騒がしくなり、パニック状態となる。

[メイン] GM : そんな中、あだぽしゃの背後から。

[メイン] ???? : 「──────俺、前、向くよ」

[メイン] あだぽしゃ : 「……」

[メイン] GM : そんな声が、聞こえた。

[メイン] あだぽしゃ : 「私も、向いているから」

[メイン] あだぽしゃ : 「いつかまた会いましょう、今度は…」

[メイン] あだぽしゃ : 「すれ違わず、ね」

[メイン] カミナ : 「……へっ」

[メイン] 中島敦 : その様子を見て。
背後に隠れた少女に視線を移し。

[メイン] あだぽしゃ : 目を瞑り

[メイン] あだぽしゃ : "これまで"を見返した

[メイン] あだぽしゃ : 目を開き

[メイン] あだぽしゃ : "これから"を見始めた

[メイン] 野田コトネ : 「……?」
その視線を、受けて見つめる。

[メイン] 中島敦 : 「……その」

[メイン] 中島敦 : ぼんやりと、朧気な感情。
しかし、これは──

[メイン] 中島敦 : 伝えなければ。

[メイン] 中島敦 : 「“もう、大丈夫ですよ”」

[メイン] 中島敦 : 微笑んで、そう告げる。

[メイン] 野田コトネ : 見れば、私の知っている”いつもの”彼の姿でもなくて。

[メイン] 野田コトネ : 「……っ、あ……」

[メイン] 中島敦 : そして。

[メイン] 中島敦 : 「よく頑張りましたね」

[メイン] 野田コトネ : 「……あはは…うん、頑張ったよ」

[メイン] 野田コトネ : 何故だか目が濡れる。
「頑張ったね」と言われたからか、それとも。

[メイン] 野田コトネ : でも、これだけは。

[メイン] 野田コトネ : 伝えなければ。

[メイン] 野田コトネ : 「……ありがとう」

[メイン] 野田コトネ : 心からの笑顔を見せて。

[メイン] 野田コトネ : ”中島敦”に向けて、そう言った。

[メイン] 野田コトネ : ……そう、伝えておいて欲しいなって。

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] 野田コトネ :  

[メイン] カミナ :  

[メイン] カミナ : 「……ここに来た理由は果たしたんだが」

[メイン] カミナ : 「やっぱり、何度見てもわからねぇ……未来の事を書いてるってのがわかったのにな」

[メイン] カミナ : 「……普通の事が書いてあるだけだよなぁ」

[メイン] カミナ : ヤクザのような格好の偉丈夫は来た時と同じように首をウンウンと捻っている

[メイン] カミナ : 「ま、もやもやは消えたんから良いけどよ」

[メイン] カミナ : 芸術品をずっと眺めていると……ふと、一人の少女が行っていた事を真似てみたくなる

[メイン] カミナ : 目を閉じて、自分の内面に目を向ける

[メイン] カミナ : ──────燎原の火

[メイン] カミナ : 男の魂を象徴する心の在り方、爆発寸前の火山がそこにある

[メイン] カミナ : 地面はグラグラと揺れ、溶岩は天を衝かんと唸りを上げている

[メイン] カミナ : ……今日のオレは、どうだったか。
妹分、なんて呼んだが……アイツの方が上手くやってたな

[メイン] カミナ : ……やっぱりな!

[メイン] カミナ : 「期待以上、やっぱりメンバーに加えて正解だったな!はーっハッハッハ!!」

[メイン] カミナ : …………

[メイン] カミナ : オレはアイツに笑われねぇリーダーでいられるか?

[メイン] カミナ : 答えは勿論……イエスだ!!

[メイン] カミナ : アイツとオレが、グレン団である限り。
オレが兄貴分を名乗り続ける限り。
この身体が、いつか燃え尽きる日まで

[メイン] カミナ : オレは、グレン団の誰にも笑われねぇ男でいる

[メイン] カミナ : 「一度決めたら、絶対曲げねぇ!!」
心象風景の火山が、大きく胎動する

[メイン] カミナ : 「いつの日か、オレを追い越して駆けてくアイツらの背中をしっかり見届けるまでは……!!」
溶岩が溢れ大地が砕け

[メイン] カミナ : 「オレは無敵のカミナ様だ……そう」

[メイン] カミナ : できるか、できないか。そんなくだらねぇ理屈はねぇ

[メイン] カミナ : 「オレを誰だと……思っていやがる!!!!」

[メイン] カミナ : 大噴火、天すら吹っ飛ばすような轟音の後
心象風景から離脱する

[メイン] カミナ : 「……おっし!」
頬を叩き

[メイン] カミナ : 目を開いた

[メイン] カミナ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ : …寒かった、とても

[メイン] あだぽしゃ : 思い出す、これまでを

[メイン] あだぽしゃ : でも、正しく思い出している

[メイン] あだぽしゃ : 白い白い、雪原の中を逃げ続けていたあの時間

[メイン] あだぽしゃ : でも、それだけじゃあない思い出でもあった事

[メイン] あだぽしゃ : 片手で"あなた"を引いて、片手に松明を持って

[メイン] あだぽしゃ : それは

[メイン] あだぽしゃ : 諦めた先で、それでも未来を求めていたから

[メイン] あだぽしゃ : 闇の中に消える中で、でも捨てきれないものだった

[メイン] あだぽしゃ : …あだぽしゃ、ある意味では正解だった

[メイン] あだぽしゃ : 死して消えることすら無く、まだ残り続ける

[メイン] あだぽしゃ : 諦めたからじゃない

[メイン] あだぽしゃ : 諦めきれなかったから

[メイン] あだぽしゃ : ああ、少し熱い

[メイン] あだぽしゃ : するりと、コートを脱ぎ棄てて

[メイン] あだぽしゃ : たたん、たたんと、思い出をなぞる様に踊る、ステップを踏んで

[メイン] あだぽしゃ : でも、ずっと寒く無くて、それは矛盾していなくて

[メイン] あだぽしゃ : 暑いから脱いで

[メイン] あだぽしゃ : 楽しいから躍って

[メイン] あだぽしゃ : 未来を生きて、生きていくためには

[メイン] あだぽしゃ : 終わりをなぞって

[メイン] あだぽしゃ : でも終わらない

[メイン] あだぽしゃ : 未来に繋がっていくから

[メイン] あだぽしゃ : 涙が零れる、やっと思い出したから

[メイン] あだぽしゃ : 幸福を願いあった、鐘の鳴る場所で

[メイン] あだぽしゃ : あなたを思い出した、絵には映らない顔を見据えて

[メイン] あだぽしゃ : 私はやっと約束を守れた、やっと報えた

[メイン] あだぽしゃ : あなたが望んだ幸せな私は、此処に居ます

[メイン] あだぽしゃ : だから、あなたに願った幸せも叶いましたか?

[メイン] あだぽしゃ : もう、思いはすれ違わずにいられたでしょうか?

[メイン] あだぽしゃ : 踊りつかれて、少しもつれて

[メイン] あだぽしゃ : あの日の雪原のように純白のベッドに倒れ込む

[メイン] あだぽしゃ : 涙はまだ零れていた

[メイン] あだぽしゃ : でも、悲しさも喜びも後悔も愛も

[メイン] あだぽしゃ : ずっとここにある、それを飲み込んで私は生きると

[メイン] あだぽしゃ : 心配してくれた彼に、手を引いてくれた彼女に、仲間にしてくれた彼に

[メイン] あだぽしゃ : ただ、誓い合ったあなたに

[メイン] あだぽしゃ : もう一度約束をして、ひとしきり泣いて泣いて

[メイン] あだぽしゃ : 泣き疲れて、すっと

[メイン] あだぽしゃ : これまでを終える為

[メイン] あだぽしゃ : 眠りの中に、溶けて行った

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] あだぽしゃ :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 《郷愁と死》

[メイン] GM : -END-

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM :